
妊娠期間も終盤に近づくと、いよいよ待ちに待った出産が近づいてきます。
特に初めてお産を迎える初産婦さんにとっては、「お産はどんなふうに進むの?」「痛みはどのくらい?」など、さまざまな不安や疑問を感じやすいものです。
そんな不安を少しでも和らげるためにも、出産の流れや分娩の仕組みをあらかじめ知っておくことはとても大切です。
また、出産はママひとりの頑張りだけでなく、パパやご家族と一緒に迎える大切な時間でもあります。出産当日に慌てないよう、家族みんなでお産の流れやサポートのポイントを理解しておくと安心して臨めます。
この記事では、初めての方にもわかりやすく「お産の流れ」を解説しています。新しい家族を迎える準備として、ぜひ参考にしてみてください。
出産が始まる3つのサイン

出産は、必ずしも出産予定日に起こるとは限りません。
出産予定日より早く始まることもあれば、予定日を過ぎてからお産になることもあり、出産予定日当日に生まれる確率は約5%と言われています。
また、出産が起こりやすいのは、赤ちゃんの成長がもっとも整う 「正期産(妊娠37週0日〜41週6日)」 の時期です。正期産に入ったら、いつお産が始まってもおかしくないという心構えをしておくと安心です。
最初に、出産が始まる代表的な3つのサインを紹介します。
1.おしるし
おしるしとは、出産が近づいたときに見られる少量の出血のことです。
赤ちゃんを包む卵膜が子宮壁から少し剥がれることで出血し、これがおりものに混ざって出てきます。
おしるしがあったからといって、すぐにお産が始まるわけではありません。多くは 1~2日以内に陣痛が始まることが多いとされますが、数日~1週間ほど間が空くこともあります。落ち着いて入院準備を整えておきましょう。
おしるしの特徴
おしるしの出方には個人差があります。
- 茶色や薄いピンクがかったおりもの
- 粘り気のあるおりものに少量の血が混ざる
- 下着に少しつく程度の鮮血
こうしたパターンが一般的で、多くの場合洋服まで染みるほどの量にはならないのが特徴です。おしるしは粘度の高いケースが多く、おりものっぽいと感じるママが多いようです。
おしるしがないまま出産を迎えることも
出産のサインとして広く知られる「おしるし」ですが、全てのママに起こる現象ではありません。
おしるしが見られなかったというママも多く、「おしるしがない=まだ産まれない」とは限りません。他の兆候(陣痛・破水)にも注意して過ごしましょう。
おしるしがきたらどうすればいい?
おしるしがあった場合、まもなく陣痛や破水など他の出産のサインも起こる可能性が高いです。とはいえ、おしるしがきてから出産まで1週間程空いたというママもいます。すぐに出産が始まるわけではないので冷静に入院の準備をしておきましょう。
おしるしがきた際には以下のように対処します。
- ナプキンをあて、出血量を観察する
- 出血の色・量・発生した日時を記録する
- 入院準備(荷物や書類)を最終確認する
また、すぐに産院へ向かえるように、
- 家族に送迎できるよう声をかけておく
- タクシー会社の電話番号を確認しておく
- 遠出は避け、体調に気を配って過ごす
こうした準備をしておくと安心です。
2.陣痛
陣痛とは、赤ちゃんを外へ送り出すために子宮が規則的に収縮する現象です。
出産が近づくと、不規則で弱い収縮である「前駆陣痛」が起こりやすくなり、お産が本格的に始まると「本陣痛」に移行します。
陣痛というと耐えがたい激痛を想像しがちですが、最初は生理痛のような鈍い痛みや下腹部が重い感覚から始まることが多いです。「あれ?なんだかお腹が痛いような気がする」と思ったら、痛みがいつ始まっていつ治まるか(間隔)を測ってみることが大切です。
陣痛は定期的に起きて、徐々に間隔が短くなっていくのが特徴です。
前駆陣痛と本陣痛の違い
前駆陣痛は、人によっては妊娠37週になる前から感じることもあり、お腹の張りに近い感覚であることが多いです。「これは前駆陣痛?本陣痛?」と迷ったときは、以下の点に注目してみてください。
| 前駆陣痛 | 本陣痛 | |
| 痛みの間隔 | バラバラ・不規則 | 一定になり、徐々に間隔が短くなる |
| 痛みの性質 | 張る感じ・違和感 | 明確な子宮収縮と痛みを伴う |
| 痛みの強さ | 強くなったり弱くなったりする/突然痛みが消えることがある | 痛みを感じている間は一定の痛みが続く/徐々に痛みは強くなっていく |
| 体勢による変化 | 体勢を変えると痛みが弱まったり楽になることがある | 体勢を変えても子宮収縮中は痛み続ける |
| 痛む場所 | 子宮周辺 | 子宮周辺/腰/お尻 |
経産婦さんは経験から違いが分かることもありますが、初産婦さんは特に判別が難しいことが多いです。
明確な違いとして痛みの間隔が挙げられます。最大でも1時間を目安に定期的に痛みが起こっているかどうか、間隔を計ってみるのがよいでしょう。
陣痛がおきたらどうすればいい?
陣痛を感じたら、まずは 陣痛の間隔を計りつつ、入院の準備を整えましょう。
一般的に、産院へ連絡する目安は次のとおりです。
- 初産婦さん:陣痛の間隔が10分間隔になったタイミング
- 経産婦さん:陣痛の間隔が15分間隔になったタイミング
ただしこれはあくまで目安であり、産院までの距離が遠い方、経産婦さんで進行が早かった経験がある方は、少し早めに連絡してOKです。
また、陣痛が始まると自然に破水が起こるケースがあります。破水の可能性を考え、公共交通機関の利用は避け、タクシーや家族の車で向かうようにしましょう。
3.前期破水
前期破水とは、陣痛が始まる前に卵膜が破れ、羊水が流れ出る状態を指します。出産する妊婦さんの5〜10%程度に見られ、決して珍しい現象ではありません。
前期破水が起きた場合、24時間以内に陣痛が始まることが多いです。一方で、羊水が減ることで赤ちゃんが細菌やウイルスに感染しやすくなるリスクがあります。
そのため、前期破水を疑ったら速やかに産院へ連絡し、医療体制の整った状態で経過を見てもらうことが重要です。
破水の種類
破水には3種類あります。
| 適時破水 | 陣痛が始まり、子宮口が全開になってから起こる破水 |
| 早期破水 | 陣痛は始まっているが、子宮口が全開になる前に破水する |
| 前期破水 | 陣痛が始まる前に破水する |
また、卵膜がどの位置で破れるかによっても、破水の現れ方は大きく異なります。子宮口に近い部分で卵膜が破れた場合は、一度に羊水が流れ出ることが多く、比較的はっきりと破水と判断できます。一方で、子宮口から離れた上部が破れた場合は、少量の羊水がタラタラと流れ続ける形になり、尿漏れと区別がつきにくいことがあります。
妊娠後期は尿漏れが起こりやすい時期でもあるため、前期破水なのか尿漏れなのか迷うママも少なくありません。「尿漏れかな?」と思っても、流れ方が長く続く場合や止められない場合は、前期破水の可能性を考えて注意深く観察しましょう。
破水の見分け方
尿漏れと破水の違いに悩んだ時には以下を参考にしてみてください。
| 破水 | おりもの | 尿漏れ | |
| 色 | 透明~薄ピンク(血が混じってピンクになる) | 透明~白 | 黄色っぽい |
| 質感 | サラサラ | トロっとしている | サラサラ |
| におい | 生臭いにおい | やや酸っぱいにおい | アンモニア臭 |
| 特徴 | 意識的に止められない | 意識的に止められない | 少しなら意識的に止められることが多い |
破水の瞬間に「パチン」「ポン」「プチッ」といった音が聞こえた、あるいは卵膜が破れる衝撃を感じたと話すママもいます。必ずしも全員に起こるわけではありませんが、いつもと違う感覚があった場合には破水の可能性を意識し、注意深く様子を観察するようにしましょう。
破水したらどうすればいい?
破水した場合は、まずナプキンを当てて漏れを抑えつつ、速やかに産院へ連絡してください。多くの場合、そのまま受診するよう指示されるため、家族にもすぐに出られるよう準備をしてもらうと安心です。
羊水が外へ流れ出ると赤ちゃんが感染しやすくなるため、破水後の入浴は避けましょう。早期破水の場合はシャワーも含めて控える必要があります。また、移動中に破水がさらに進むこともあるため、車で向かう際にはレジャーシートやバスタオルを敷いておくと安心です。
出産の流れ

ここからは、出産のサインに気づいて産院へ到着した後、どのようにお産が進んでいくのかを解説します。
お産は大きく 3つのステージ(分娩第1期〜第3期) に分かれており、それぞれでママの体と赤ちゃんの体に何が起こっているのかを知っておくと、不安がやわらぎやすくなります。
分娩第1期(開口期)

陣痛が始まってから子宮口が全開(約10cm)になるまでの時期を「分娩第1期」といいます。陣痛と共に分娩第1期が始まるため、陣痛の間隔が短くなるまで家で待機している時間は、開口期が進むのを待っている時間とも言えるでしょう。
この時期、赤ちゃんはゆっくりと下へと移動しながら、体を少しずつ回転させ(胎児回旋)、産道を通りやすい姿勢を整えていきます。
分娩第1期にみられる主な症状
分娩第1期のママには以下のような症状が見られます。
- 規則的な陣痛
- 少量の出血(おしるし様の出血)
- 陣痛に伴う破水(早期破水)
子宮口が全開になる前に強くいきむと、お産の進行を妨げてしまうことがあります。助産師の指示に従い、呼吸法でうまく いきみ逃し をしながら進めていきましょう。
分娩第1期にかかる時間
出産の中で、もっとも時間がかかるのがこの 「分娩第1期」 です。
- 初産婦さん:10~12時間
- 経産婦さん:4~6時間
子宮口が全開になるまでの時間には個人差が大きいものの、一般的に初産婦は時間がかかりやすいといわれています。
また、基本的に陣痛が30時間以内であれば正常範囲とされています。
長時間かかる場合には、ママと赤ちゃんの状態を見ながら陣痛促進剤などの医療的サポートを検討することがあります。
分娩第1期のママの過ごし方
分娩第1期は、出産のなかでももっとも長く時間がかかる時期です。緊張したまま過ごすと体力を消耗してしまうため、できるだけ心身をリラックスさせることが大切です。体が冷えると血流が悪くなり疲れやすくなるので、室温を調整したり、可能であれば足湯で体を温めたりするとよいでしょう。
また、食事や睡眠は取れるときにしっかり取っておくことが大切です。動けるうちにトイレにもこまめに行っておきましょう。破水していない場合は、入浴やシャワーでリフレッシュすることも可能です。
歩いたり、階段をゆっくり昇り降りしたりすることで、お産の進行が促されることもありますが、転倒には十分注意してください。
陣痛がきたときは、子宮の収縮に合わせてゆっくりと深く呼吸し、落ち着いていきみ逃しを行います。姿勢を変えながら、自分が少しでも楽に感じる体勢やいきみ逃しの方法を探してみてください。
分娩第1期の家族の過ごし方
分娩第1期は長時間に及ぶことが多いため、可能であれば家族の誰かがそばに付き添ってあげるとママは安心できます。お産の進行が急に早まったり、破水が起こることもあるため、何か変化があったら落ち着いて看護師や助産師に伝えられるよう、家族も心の準備をしておくことが大切です。
入院手続きなどを済ませたあとは、陣痛の合間にママの腰や背中をさすってサポートします。どの程度の強さで、どの場所をさすると楽になるかは人によって違うため、ママに確認しながら寄り添ってあげてください。
長時間の陣痛でママは疲れやすくなるため、リラックスできる環境づくりも家族の大切な役割です。飲み物を用意したり、声かけをしたりしながら、できる限りママが落ち着いて過ごせるように支えてあげましょう。
分娩第2期(娩出期)

子宮口が全開になり赤ちゃんが娩出されるまでの時期を分娩第2期(娩出期)と言います。一般的に分娩第2期に入ったタイミングで、分娩室へ移動するケースが多いです。強い陣痛のなか移動するのは大変ですが、後少しなので頑張りましょう。
子宮口が全開(約10cm)になり、赤ちゃんが実際に生まれるまでの時期を「分娩第2期(娩出期)」といいます。
いよいよ赤ちゃんに会えるまでもう少しという大切な時間です。
分娩第2期では、破水がこのタイミングで起こるママも多く、ここから本格的に赤ちゃんが降りてくる段階に入ります。
子宮口が全開になった後、赤ちゃんは回旋しながら産道を通って下降していきます。そののちに膣口から赤ちゃんの頭が見え隠れする状態になります。
これを 「排臨(はいりん)」 と呼び、さらに頭が引っ込まなくなる状態を 「発露(はつろ)」 といいます。
発露となると、赤ちゃんの娩出はいよいよ目前です。
赤ちゃんは産道を通る際に、頭 → 肩 → 体幹 → お尻 → 足 の順に出てきます。
そのとき、赤ちゃんが通りやすいように体を回転させながら降りてくるため、助産師の声かけに合わせて呼吸法を行うことがとても大切です。
また、分娩第2期は会陰に最も負担がかかる時期ではありますが、排臨の経過とともに、自然に会陰が伸びてくれば、会陰切開の必要はありません。しかし、ママと赤ちゃんの状態によって、早くお産をすすめる必要がある場合は、会陰切開を行うことがあります。いずれも、状況をみながら医師・助産師が判断します。
分娩第2期にみられる主な症状
分娩第2期には主に以下の症状がみられます。
- 陣痛
- 破水
分娩第2期に入ると、赤ちゃんを押し出すために陣痛はさらに強く規則的になります。
1回ごとの痛みも長くなり、いきむタイミングが助産師から指示されることが多いです。
多くのママは、この分娩第2期で破水します。すでに破水している場合もありますが、まれにここまで破水しないケースもあり、その場合は必要に応じて人工破膜(卵膜を破って破水させる処置)を行うことがあります。
分娩第2期にかかる時間
分娩第2期にかかる時間はおよそ以下のとおりです。
- 初産婦さん:2~3時間
- 経産婦さん:約1〜1.5時間
とはいえ個人差が大きく、分娩台へ移動して数分で赤ちゃんが生まれた、というママも珍しくありません。いきみのタイミングや力の入れ方も進行に影響するため、助産師や医師の指示をよく聞くことが大切です。
分娩第2期のママの過ごし方
分娩第2期は、赤ちゃんがいよいよ産道を通って出てくる最終段階です。痛みは強くなりますが、できるかぎり力を抜き、効率よく酸素を取り込む意識を持ちましょう。
いきむときは、目を開けておへそを見るようにし、息を止めて背中を丸める姿勢が効果的です。体の中心に力が入りやすく、赤ちゃんに押し出す力が伝わりやすくなります。
分娩第2期の家族の過ごし方
分娩が進むにつれ陣痛が強くなるため、ママの手を握ったり声をかけたりして気持ちを落ち着かせるサポートが大切です。汗をかいている場合は拭いてあげたり、いきむときに背中を支えてあげるとママも心強く感じます。
分娩室では、血液や羊水のにおいなどで、稀に気分が悪くなってしまうこともあります。
無理をせず、体調が悪い場合は速やかにスタッフへ声をかけて退室しましょう。倒れてしまうと、かえってお産の妨げになってしまいます。
分娩第3期(後産期)
赤ちゃんが誕生した後、体重・身長測定、全身のチェックなどが行われます。その間、ママの体では「分娩第3期」と呼ばれる胎盤を排出する段階に入ります。
胎盤は、赤ちゃんとともに役割を終えたあと自然に剥がれ落ちるため、強くいきまなくても排出されることが多いですが、個人差があり、状況によっては助産師や医師から軽くいきむよう促されることや、お腹を押して補助が行われることもあります。
また、会陰切開または会陰裂傷がある場合は縫合処置を行います。胎盤の排出から縫合処置までを含め、全体として30分ほどで処置が完了するのが一般的です。処置が落ち着いたら、希望に応じて赤ちゃんを胸の上で抱く「カンガルーケア」が行われることもあります。
処置が終わったあとは、出血量や子宮の戻り具合などを確認するため、約1〜2時間ほど分娩室で安静にして経過観察を行います。気分が悪い、寒気がする、強い痛みがあるなど、少しでも異変を感じた場合は遠慮せずすぐに助産師へ伝えましょう。
出産後はいつ赤ちゃんに会える?

出産後、「早く赤ちゃんに会いたい!」と感じるママはとても多いものです。しかし、赤ちゃんとの面会や母子同室のタイミングは、産院ごとの方針によって異なります。 出産前の健診などで、事前に確認しておくと安心です。
一般的には、出産当日の赤ちゃんは新生児室で過ごすケースが多く、スタッフが赤ちゃんの体調チェックやケアを行います。ママ自身も出産直後は体力を大きく消耗しており、貧血・ふらつき・疲労感が強く出ることがあります。
「すぐに赤ちゃんを見に行きたい」と思う気持ちは自然ですが、まずはママがしっかり休むことが最優先です。 医療スタッフが赤ちゃんの安全を確保してくれていますので、安心してベッドで休み、回復に努めましょう。
当院では、母子同室を行っています。出産後のママの体調をみながら、ご希望に沿ったタイミングで同室を始められるようにいたします。ママの体調が整い次第、赤ちゃんとの時間をゆっくり楽しんでくださいね。
出産後は悪露(おろ)が始まる
出産後は、胎盤が剥がれた際の出血やリンパ液、子宮内膜の組織などが混ざった分泌物である悪露が排出されます。産後すぐの悪露は量が多く、色も赤みが強いため、大きめの産褥パッドでしっかりと吸収できるようにしておくことが大切です。
会陰切開や自然な裂傷があった場合は、傷口を清潔に保つために、ナプキンをこまめに換えたり、洗浄綿やウォシュレットなどでやさしく洗浄するようにしましょう。
また、悪露の排出と同時に、子宮が元の大きさに戻ろうと収縮することで後陣痛を感じるママも多いです。痛みの程度には個人差があり、生理痛くらいの痛みで済む方もいれば、本陣痛に近い強い痛みを感じる方もいます。特に経産婦さんは子宮の戻りが早いため、後陣痛が強い傾向があります。
もし痛みがつらい場合は、鎮痛剤を処方してもらえることもありますので、我慢せず医師や助産師に相談してください。
【出産予定日が近いママ向け】受診すべき3つのサイン
ここまでで、お産の流れのイメージがつかめてきたでしょうか。出産予定日が近づくと、「これって普通?」「病院へ行くべき?」と不安に感じる場面が増えてきます。
赤ちゃんが誕生するその瞬間まで、何が起こるかは誰にも分かりません。次のような症状がある場合は、迷わず産院に連絡し、受診してください。
その1. 胎動を感じない、または極端に減ったとき
出産が近づくと胎動が減ってきますが、胎動がなくなることはありません。赤ちゃんが骨盤内へ下がって動きにくくはなるものの、胎動自体は感じられるのが通常です。
胎動が感じられない・明らかに減ったと感じたら、次の方法でチェックしましょう。
横になって、胎動を10回感じるまでの時間を計測します。
1時間以上かかる場合はすぐに受診してください。
赤ちゃんの状態に異常が起きている可能性もあるため、少しでも不安があれば遠慮せず電話をしましょう。
その2.尿漏れが頻発している場合
妊娠後期は大きくなった子宮に膀胱が圧迫され、尿漏れが増える時期です。
しかし、短時間で何度も水分が漏れる場合は、高位破水(子宮の上部での破水)の可能性があります。
高位破水では、
- 少量の水っぽい液体がダラダラ続く
- においが薄く、尿と区別しにくい
といった特徴があります。尿か羊水か判断がつかない場合も、必ず受診してください。
その3. 刺すような強い痛みや、鮮血の出血があるとき
「チクッと鋭い痛み」「急に強く痛む」「鮮血が出た」
これらは常位胎盤早期剥離などの緊急性のある異常が起きている場合があります。
常位胎盤早期剥離は妊娠32週以降に起こりやすく、発症の前触れがほとんどないのが特徴で、妊婦健診で問題がなかった直後に起こるケースも珍しくありません。
強い痛みや鮮血の出血が見られた場合は、ママと赤ちゃんの命に関わることもあるため、すぐに産院へ連絡し、指示を仰ぐことが重要です。必要と判断されれば、救急車の要請が推奨される状況もあります。少しでも異変を感じたら、「様子を見る」のではなく、迷わず受診してください。
まとめ
今回は、出産の流れについて詳しく説明しました。
初めて出産を迎えるママはもちろん、経産婦さんでも「毎回ドキドキする」という声は少なくありません。だからこそ、事前に出産の流れを知っておくことは、不安を減らし、少しでも落ち着いてお産に臨むための大きな助けになります。
今、自分の体で何が起きているのか、これからどんな段階を経て赤ちゃんに会えるのかを理解することで、心の負担が軽くなることもあります。
出産はママひとりではなく、家族みんなで迎える大切なイベントです。
ぜひ、ご家族と一緒に出産の流れを確認し、安心してその日を迎えられるよう準備してみてくださいね。
当院では、32週以降の妊婦さんを対象に、出産準備教室を行っております。
お産の立ち会いや産後のサポートをしてくれるご家族の参加も大歓迎です。
「わたしらしいお産」が安心してできますように。


