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妊娠中のビタミンAは摂り過ぎに注意!適量や注意したい食品を解説

医療法人みらいグループ
妊娠中のビタミンAは摂り過ぎに注意!適量や注意したい食品を解説

妊娠中にママが食べるものは、お腹の赤ちゃんにもさまざまな影響を与えます。赤ちゃんの発育に必要な栄養素は積極的に摂取したい一方で、なかには摂り過ぎに注意が必要な栄養素もあります。

今回は、妊娠中の摂り過ぎに注意したい栄養素のひとつである「ビタミンA」について詳しく解説します。

ビタミンAは健康維持や赤ちゃんの発育に欠かせない栄養素ですが、妊娠初期には過剰摂取に注意が必要です。正しい知識を身につけて、バランスよく摂取しましょう。

ビタミンAってどんな栄養素?

ビタミンAは、レチノール、レチナール、レチノイン酸など栄養素の総称です。主な働きとして、以下が挙げられます。

  • 目や皮膚の粘膜を健康に保つ
  • 抵抗力を維持する
  • 暗い場所での視力を保つ

また、近年の研究では、レチノールが一部のがんの予防や治療に関与する可能性も示唆されています。ビタミンAは緑黄色野菜や動物性食品などに含まれており、私たちの健康維持に欠かせない栄養素のひとつです。

一方で、ビタミンAが不足すると以下のような影響を受ける可能性があります。

  • 夜盲症(暗い場所で見えにくくなる症状)
  • 皮膚の乾燥、肥厚、角質化
  • 角膜や結膜上皮の乾燥、角質化
  • (小児の場合)成長障害

このように、ビタミンAは健康維持に欠かせない栄養素ですが、不足だけでなく摂り過ぎにも注意が必要です。

妊娠初期はビタミンAの過剰摂取に注意

健康維持に欠かせないビタミンAですが、妊娠初期は過剰摂取を避けるよう注意が必要です。

ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミンは余分な量が尿などから排出されます。しかし、ビタミンAは脂溶性ビタミンであり、体内に蓄積されやすい特徴があります。

そのため、過剰摂取によってさまざまな影響を受ける可能性があります。

ビタミンAの過剰摂取でママが受ける影響

ビタミンAの過剰摂取でママが受ける影響
ビタミンAを過剰に摂取した場合、以下のような症状がみられることがあります。

  • 頭痛
  • 嘔吐
  • めまい
  • 食欲不振
  • 関節痛
  • 皮膚の乾燥
  • 脱毛 など

過剰に摂取したビタミンAは肝臓に蓄積されます。短期間に大量摂取した場合には急性症状がみられることもあります。
一般的な食生活のなかで急性症状が起こるほど摂取するケースは多くありませんが、過去には野生動物の肝臓や魚の肝油を大量摂取したことで発症した事例も報告されています。

参考:内閣府 食品安全委員会|ビタミンAの過剰摂取による影響

ビタミンAの過剰摂取で赤ちゃんが受ける影響

ビタミンAの過剰摂取で赤ちゃんが受ける影響

ビタミンAの一種であるレチノイン酸には催奇形性との関連が指摘されています。
詳しいメカニズムは完全には解明されていませんが、妊娠初期に過剰摂取すると赤ちゃんの器官形成異常のリスクが高まる可能性があると考えられています。
器官形成異常とは、胎児の器官が形成される時期に薬剤や放射線、ウイルス感染などの影響によって先天性異常が起こる状態です。

ビタミンAの過剰摂取により、以下のような異常が生じる可能性があります。

  • 眼の異常
  • 耳の異常
  • 顎の異常

また、妊娠初期の過剰摂取によって口唇口蓋裂のリスクが高まる可能性も指摘されています。

妊娠中のビタミンAの摂取目安量

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、妊娠中のビタミンA摂取量の目安は以下の通りです。

授乳期(付加量)

推定平均必要量 推奨量 耐容上限量
18~29歳の女性 450㎍RAE/日 650㎍RAE/日 2,700㎍RAE/日
30~49歳の女性 500㎍RAE/日 700㎍RAE/日 2,700㎍RAE/日
妊娠初期(付加量) +0㎍RAE/日 +0㎍RAE/日
妊娠中期(付加量) +0㎍RAE/日 +0㎍RAE/日
妊娠後期(付加量) +60㎍RAE/日 +80㎍RAE/日
授乳期(付加量) +300㎍RAE/日 +450㎍RAE/日

 

ビタミンAは健康な体や赤ちゃんの発育のために必要な栄養素です。
一方で、過剰摂取を避けるため、妊娠初期から妊娠中期までは妊娠していない成人女性とほぼ同程度の摂取量が推奨されています。
妊娠後期になると、赤ちゃん自身も体内にビタミンAを蓄積するようになるため、その分の付加量が設定されています。
また、授乳期は母乳を通して赤ちゃんへビタミンAを届ける必要があるため、さらに多くの摂取が推奨されています。

なお、耐容上限量は妊娠の有無にかかわらず成人で2,700μgRAE/日とされているため、過剰摂取には注意しましょう。

いつまでビタミンAの摂取量に気を付ければいいの?

特に注意したいのは、赤ちゃんの器官形成が活発に行われる妊娠1〜3か月頃です。
一般的な食生活でビタミンAの過剰摂取が起こることは多くありませんが、サプリメントの過剰摂取や、レバー・うなぎなどビタミンAを多く含む食品を偏って摂取した場合には注意が必要です。

実際に報告されている健康被害の多くは、サプリメントの過剰摂取や特殊な食習慣によるものです。

そのため、妊娠初期はサプリメントの利用や特定の食品の過剰摂取に注意しながら、バランスのよい食生活を心がけましょう。

ビタミンAを多く含む食材

ビタミンAを多く含む食材には以下があります。

食品 100gあたりのビタミンA含有量
鶏レバー 14,000㎍
レバーペースト 4,300㎍
ほたるいか(茹で) 1,900㎍
うなぎ(焼き) 1,500㎍
牛レバー 1,100㎍
アナゴ(蒸し) 890㎍
鶏卵(生) 690㎍

 

ビタミンAは肝臓に蓄積されるため、レバー類には特に多く含まれています。
妊娠中は鉄分不足を心配してレバーを食べようと考える方もいますが、ビタミンAの摂取量にも注意が必要です。
レバー類を含め、ビタミンAを多く含む食品を頻繁に食べ過ぎないよう、バランスを意識して摂取しましょう。

妊娠中でも適量のビタミンAを摂るポイント

妊娠中でも適量のビタミンAを摂るポイント
「ビタミンAを多く含む食品を見ると、簡単に耐容上限量を超えてしまうのでは?」と不安になる方もいるかもしれません。
しかし、いくつかのポイントを意識することで、妊娠中でもビタミンAを適切に摂取できます。

週単位で考える

ビタミンAの摂取量は、1日単位ではなく1週間単位で考えることがポイントです。
例えば、レバーやうなぎなどビタミンAを多く含む食品を食べた日は、翌日以降の摂取量を意識して調整するとよいでしょう。
妊娠中は鉄分不足になりやすく、レバーなどの食品が役立つ場面もあります。

そのため、「ビタミンAが多いから食べてはいけない」と考えるのではなく、食べる頻度や量に気を付けながら、バランスよく取り入れることが大切です。

βカロテンを上手に活用する

ビタミンAを効率よく摂取したい場合は、βカロテンを含む食品を積極的に取り入れるのもおすすめです。

βカロテンは、にんじんやほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれる栄養素で、体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。水溶性の栄養素なので、体内に十分なビタミンAがあれば尿などに溶解して排出されます。
そのため、通常の食事でβカロテンを摂取する場合は、ビタミンAの過剰摂取を過度に心配する必要はありません。
βカロテンは体内で必要に応じてビタミンAへ変換されるため、妊娠中の栄養補給にも役立ちます。

βカロテンは以下の食品に多く含まれています。

食品 100gあたりのβカロテン含有量
しそ 11,000㎍
モロヘイヤ 10,000㎍
にんじん 8,600㎍
パセリ 7,400㎍
ほうれん草 5,400㎍

ビタミンA以外にも妊娠中に気を付けたい食べ物

妊娠中は、ビタミンAを多く含む食品以外にも、摂取量や食べ方に注意したい食品があります。
ママと赤ちゃんの健康を守るためにも、あらかじめ把握しておきましょう。

大型の回遊魚(メカジキ、クロマグロなど)

魚は栄養価が高く、妊娠中も積極的に摂りたい食品のひとつです。
一方で、メカジキやクロマグロなど一部の大型回遊魚には、水銀が比較的多く含まれている場合があります。
妊娠中に過剰な水銀を摂取すると、胎児の発育へ影響を与える可能性が指摘されているため、厚生労働省が摂取量の目安を示しています。

注意が必要な大型回遊魚 1週間に食べる量の目安
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ 約80g
キンメダイ、ツチクジラ、メカジキ、クロマグロ、メバチ、エッチュバイガイ、マッコウクジラ 約40g

 

なお、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、サンマ、タイ、ブリ、カツオ、イワシなど、一般的に食卓に並ぶ魚については、過度に心配する必要はありません。

生肉や生魚

生肉や生魚には、「トキソプラズマ」という寄生虫が付着している可能性があります。
妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合、胎児にも感染し、流産・死産・先天性異常などにつながる可能性があります。
そのため、生肉や加熱が不十分な肉類、生魚の摂取はできるだけ避けましょう。

また、トキソプラズマは猫の糞から感染することもあるため、ペットを飼っている場合は糞の処理にも注意が必要です。

非加熱食品

ナチュラルチーズやスモークサーモンなどの非加熱食品には、「リステリア菌」という細菌が含まれていることがあります。
健康な方では重症化することは多くありませんが、妊娠中は免疫力が低下しやすく、感染リスクが高まると考えられています。

妊婦が感染すると、流産や早産、新生児への感染などにつながる可能性があるため、妊娠中は十分に加熱された食品を選ぶようにしましょう。

妊娠中のビタミンAに関するよくある質問

妊娠中のビタミンAに関するよくある質問
最後に、妊娠中のビタミンAに関するよくある質問を紹介します。

ビタミンAのサプリ以外なら飲んでもいい?

妊娠中にサプリメントを服用する場合は、事前に医師へ相談しましょう。
また、ビタミンA以外のサプリメントにもビタミンAが含まれている場合があります。
成分や含有量を確認したうえで、使用することが大切です。

妊娠中にビタミンAを摂りすぎるとどうなるの?

妊娠初期にビタミンAを過剰摂取すると、胎児の器官形成異常のリスクが高まる可能性があります。特に妊娠1~3か月頃は注意が必要です。

妊娠中に摂っていいビタミンAの上限は?

成人女性の耐容上限量は、妊娠の有無にかかわらず1日2,700μgRAEです。
ただし、一般的な食生活で超えることは多くありません。サプリメントやレバー類の摂り過ぎには注意しましょう。

ビタミンA配合のスキンケア製品は使ってもいいの?

ビタミンA(レチノール)を含むスキンケア製品について、胎児への影響は明確には確認されていません。
しかし、製品によっては妊娠中・授乳中の使用を控えるよう案内されている場合があります。
使用前に製品の注意事項を確認し、不安な場合は医師へ相談すると安心です。

まとめ

ビタミンAは、健康な体の維持や赤ちゃんの発育に欠かせない栄養素です。
一方で、妊娠初期は過剰摂取による影響にも注意する必要があります。

とはいえ、通常の食事をバランスよく摂っていれば、過剰摂取になるケースは多くありません。
妊娠中は特定の食品やサプリメントに偏ることなく、さまざまな食品を取り入れながら栄養バランスのよい食生活を心がけましょう。

また、サプリメントの使用について不安がある場合は、自己判断せず、かかりつけ医へ相談することをおすすめします。

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この記事の監修
医療法人みらいグループ 総院長 宿田 孝弘
宿田 孝弘
医療法人みらいグループ 総院長
札幌・石狩の産婦人科「エナレディースクリニック」の宿田です。母と子に優しいお産、女性が求める医療がエナにはあります。札幌・石狩市での出産や婦人科疾患のお悩みなど、お気軽にご相談ください。