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妊娠中の適正体重や増加の目安は?体重管理のコツもご紹介!

医療法人みらいグループ
妊娠中の適正体重や増加の目安は?体重管理のコツもご紹介!

妊娠中のママが気になる体重増加。増え過ぎると産院で指導を受けてしまう、という話を聞いたことのあるママも多いでしょう。
妊娠中のママは、赤ちゃんの発育をサポートするためにも適正体重を維持しながら妊婦生活を過ごすことを意識するのが大切です。

この記事では太り過ぎ・痩せ過ぎで起こる妊娠中や産後のトラブルをはじめ、妊婦の適正体重や体重管理のコツについても紹介しています。
過去の妊娠・出産で体重に関する指導を受けたママや、今後妊娠を希望している人も是非参考にしてみて下さい。

妊娠中のママが太り過ぎるとどうなるの?

経産婦ママの中には、妊娠中に太り過ぎてしまい医師から指導受けたという人も少なくないでしょう。
妊娠中は、ママの胎内で成長する赤ちゃんに十分な栄養を送るため、ある程度の体重増加が必要不可欠です。

しかし、過剰に太り過ぎてしまうと妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病をはじめとしたさまざまなトラブルを引き起こすリスクになります。

妊娠中のママは太りやすい体質になるため、通常以上の体重増加は当然あるでしょう。
しかし、ママや赤ちゃんに異常が現れる程の体重増加は防ぐ必要があります。
妊娠中に太り過ぎてしまうことで起こる病気やトラブルについて紹介します。

妊娠高血圧症候群になりやすくなる

妊娠中の急激な体重増加は、妊娠高血圧症候群にかかるリスクを上昇させると言われています。
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に起こる高血圧です。
高血圧が引き金となりさまざまな病気や疾患を引き起こし、ママだけでなく赤ちゃんに影響が出るケースも少なくありません。

妊娠高血圧症候群が重症化すると胎盤の機能が低下してしまうこともあり、胎児発育不全や常位胎盤早期剥離、胎児死亡など赤ちゃんの命に関わる症状を引き起こすこともあります。

妊娠高血圧症候群についてもっと詳しく知りたい人は以下の記事も参考にしてみて下さい。

妊娠糖尿病になりやすくなる

妊娠中に血糖異常を起こしてしまう妊娠糖尿病も、急激な体重増加が発症リスクになることが分かっています。
妊娠糖尿病も、ママだけでなく赤ちゃんに影響を与えてしまうリスクが大きく、子宮内胎児死亡や新生児低血糖、先天奇形、発育遅延を起こす可能性があります。

妊娠糖尿病になると、赤ちゃんが必要以上に大きく育ってしまう巨大児となるリスクも心配ですね。
巨大児は多くの脂肪を蓄えているものの、内臓の発達が未熟な状態になりやすく、肩甲難産(赤ちゃんの肩が引っかかって分娩が難しくなる)になるケースもあります。

妊娠糖尿病についてもっと詳しく知りたい人は以下の記事も参考にしてみて下さい。

その他のママが太り過ぎることで起こるトラブル

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病以外にも、妊娠中の太り過ぎで起こるトラブルにはさまざまなものがあります。

  • 体重増加によって膝や腰に負担がかかり痛みが出る
  • 産道に脂肪がつくことで赤ちゃんが下りてきにくくなる
  • うまく陣痛がつかず出産が長引く
  • 産後も慢性的な腎臓病や高血圧を引き起こすリスクが上昇する

特に、産道に脂肪がつくことで難産になるという話を聞いたことがあるママは多いでしょう。
適正体重を過剰にオーバーしてしまうと、さまざまなリスクが上昇してしまうことが考えられます。

妊娠中のママが痩せ過ぎるとどうなるの?

妊娠中は太り過ぎることが問題視されがちですが、最近は痩せ過ぎているママのトラブルも注目されています。
特に妊娠する前から痩せているママは、妊娠中さらに痩せてしまうことでさまざまな問題が生じてしまいます。

赤ちゃんが将来生活習慣病になりやすくなる

妊娠前からやせ型のママの場合、栄養状態が著しくないケースも珍しくありません。
妊娠中、胎盤が完成した後はママの補給した栄養が赤ちゃんへ送られるため、ママが栄養不足になっていると当然赤ちゃんにも十分な栄養が行き届かなくなってしまいます。

最近の研究によると、胎児の時に十分な栄養が摂れず飢餓状態になった赤ちゃんは、出生後の飢餓状態に備えて脂肪を栄養分に変えやすいよう遺伝子を変化させることが分かっています。
つまり、少しの食糧からでもできる限り多くの脂肪分や栄養分を体内に取り込むことのできる体質になるということです。

現代の日本で飢餓状態に陥ることは殆どないため、出生後十分な栄養を摂取した赤ちゃんは必要以上に栄養や脂肪を溜め込みます。
結果、早い段階で生活習慣病などにかかりやすくなってしまうリスクがあると言われています。

赤ちゃんが低体重児で産まれやすくなる

低体重児とは2,500g未満で産まれてくる赤ちゃんのことを言います。
低体重児として産まれた人は将来的に、統合失調症や慢性呼吸器症候群、骨粗鬆症などのリスクが高く、女性の場合妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群を引き起こしやすいことが分かっています。

また、低体重児として生まれた女性は低体重児を出産しやすい傾向にあることも、近年の研究により分かってきました。
日本は特に低体重児の出生率が高く、先進国の中でも特に多いことが問題となっています。
日本で出生している新生児の10人に1人が低体重児と言う背景には、元々やせ型のママが妊娠を経てさらに痩せてしまうことが要因の1つと考えられています。

【2021年3月改正】妊娠中の適正体重とは

妊娠中の適正体重

妊娠中は、妊娠前のママの体型によって推奨される適正体重というものがあります。
適正体重は、妊娠から出産までの期間中「体重増加をこれ位にできるよう管理しましょう」という指針です。

1990年頃まで妊婦の太り過ぎが問題視されていたことから、近年は「太り過ぎてはいけない」という指導を行う産婦人科医が多くいました。
しかし、近年ではやせ型のママや標準体型のママに対しては「これまでより体重を増やして構わない」として、痩せすぎない指導も行われています。

低体重児出産の増加に伴い2021年3月には、妊婦の適正体重に対する指標も見直されることになりました。

BMI値(体格指標)の算出方法

体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

BMIと適正体重の指標

妊娠前のBMI 【改正後】妊娠中の適正体重 【改正以前】妊娠中の適正体重
BMI18.5未満 12~15kg 9~12kg
BMI18.5以上25未満 10~13kg 7~12kg
BMI25以上30未満 7~10kg 個別対応
BMI30以上 個別対応

【例】体重50kg・身長160cmのママの場合

●BMI
50kg÷(1.6m×1.6m)=19.5●妊娠中の適正体重
上記の表より、妊娠中の適正体重は「+10~13kg」。
体重が50kgなので、妊娠から出産まで全体を通して「60~63kgまでの体重増加が適正」。

 

特に経産婦のママは、改正前の適正体重から約3kg指標が上がっているので驚くこともあるでしょう。
適正体重はあくまで妊娠期間全体を通して、適正とされる体重の指標です。
短期間で急激に適正体重まで達してしまうのは良くないので、体重の増やし方にも十分注意してみて下さい。

妊娠前のママの体重も赤ちゃんに関係があるって本当?

世界では健康的な体型が注目されており、国によっては痩せすぎているモデルは起用を禁止されるなど、体型に関する考え方は近年変わりつつあります。

しかし、日本ではまだまだ「痩せている方が良い」と考える人が多く、若い女性の多くはダイエットを経験したことがあり、やせ型の人の割合も多いです。

近年の妊娠出産の傾向を研究した結果、妊娠前からやせ型だった女性は適正体重通りに体重を増やしても低体重児出産や早産、難産の割合が高いことが分かってきました。
つまり、妊娠を希望しているのであれば妊娠前から標準体型を維持するのが大切ということです。

これから赤ちゃんを迎えたいと考えている人は、栄養バランスの取れた食事や適度な運動で妊娠前から標準体型を維持できるように心掛けてみて下さい。

太りすぎてしまうママが体重管理をするコツ

妊娠前から肥満体型で妊娠中の体重管理が必要なママは、食べないダイエットや過激な運動はNGです。
妊娠していない時の感覚でダイエットをしてしまうと、さまざまな問題が起こってしまうこともあるでしょう。

お腹の赤ちゃんに負担を欠けず太り過ぎを防ぐ体重管理のコツを紹介します。

妊娠初期はつわり優先!体重管理はほどほどに

つわり中の間食にナッツを
妊娠初期はつわりによって体重が増加してしまうママも少なくありません。
空腹になると吐き気に襲われる食べづわり。気持ち悪さから逃れるために暴食してしまうママも少なくないでしょう。

しかし、食べづわりにも関わらず食事制限をしてしまうとママにとって心身の負担が増大してしまいます。
ママのストレスは赤ちゃんにとって良いものではないため、食べづわりを起こしている時は、体重管理を意識し過ぎず体重が急増しないようにする工夫をしましょう。

朝昼晩の3食を少量ずつ分けて5食にし、こまめに食事を摂り常にお腹の中に食べ物がある状態を維持する方法もおすすめです。

その他、間食を低カロリー食品に変えたりすることも効果が期待できます。
糖分の多い生のフルーツは太りやすいため食べる量に注意しましょう。
間食にはナッツやチーズ、小魚、和菓子、寒天、こんにゃくゼリーなども妊娠中の間食におすすめの食べ物です。

妊娠中期は要注意!問題がないなら適度な運動も取り入れて

マタニティヨガ

つわりが終わる妊娠中期は、気持ち悪さから開放されて食べ物が一段と美味しく感じるでしょう。
つわりで殆ど食事が摂れなかったママもついつい食べすぎてしまい体重が急増してしまいがちです。

妊娠中の体重増加は1週間で0.5kg以内に収めるのが理想的。
妊娠前からやせ型や標準体型のママは栄養バランスの摂れた食事を毎日3食摂り、徐々に体重を増やしていけるように管理しましょう。

肥満体質のママは妊娠の経過に問題がないなら、栄養バランスの摂れた3食の食事を摂りつつ、マタニティスイミングやマタニティヨガ、ウォーキングなど、適度な運動を取り入れるのがおすすめです。

妊婦検診で栄養指導が入った場合は、医師や栄養士に相談して自分に合った体重管理方法のアドバイスをもらうと体重管理がしやすくなりますよ。

妊娠後期は油断禁物!間食は控えて自己管理を徹底しよう

妊娠後期になると働いているママは産休に入ります。
これまでは日中忙しく働いていたママも、産休に入ってゆっくりと過ごしているとついつい間食が増えてしまいがちです。
妊娠後期もやせ型や標準体型のママは1週間で0.5kg以内の体重増加を心掛けましょう。

肥満体質のママは栄養バランスの摂れた食事をしっかりと取り、間食は控えましょう。
出産が近付く妊娠後期は気が緩んでしまいがちです。
「出産後は中々行けないから…」と焼肉などを食べに行きたいというママも多いですよね。

「妊娠前にしておきたい」という誘惑に負けて、高カロリー高脂質な食べ物を摂りすぎてしまうと体重が急増し、適正体重をオーバーしてしまうケースもあります。
美味しい食べ物は出産後、成長していく赤ちゃんと一緒に楽しむこともできます。
グッと我慢をして、自己管理を徹底しましょう。

痩せすぎてしまうママが体重管理をするコツ

おにぎりなどを間食に
やせ型のママは、元々食が細い人も少なくありません。
つわりで食事が喉を通らず、妊娠前よりさらに痩せてしまうとお腹の赤ちゃんが心配になってしまいますよね。

体重を増やしたいママは、1日の食事を小分けにして5食にしてみるのがおすすめです。
妊娠中は大きくなる子宮に他の臓器が圧迫されて、胃が押し上げられてしまいます。
少し食べると満腹感を感じてしまうのは、このためです。

食事は栄養バランスの摂れたものを1日トータルで摂り入れることを意識してみて下さい。小まめに食事をしてでも、1日に必要なカロリーや栄養素を摂取できればOKです。

仕事をしていて、小まめに食事をするのが難しいママはスムージやおにぎりなどを間食としてみる方法もおすすめです。

体重を増やそうと高カロリー、高脂質なものばかりを食べてしまうと、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病のリスクが高まるため危険です。
やせ型で体重の増えにくいママは妊娠中期以降1週間に0.3kg以上の体重増加を目指してみましょう。

どうしても食事が摂れない場合には、サプリの服用も検討する必要があります。
その際は、自己判断せず、妊婦検診で医師や栄養士に相談してみて下さいね。

まとめ

妊娠中の体重管理は、ママや赤ちゃんの健康にとても大切なものです。
妊娠前の体型を元に、適正体重に合わせた体重管理が重要です。
お腹の赤ちゃんの成長にはママが摂り入れる栄養がかかせません。

妊娠中はこれまで以上に栄養バランスに気を付けた食事を摂り入れ、暴飲暴食や無理なダイエットを控え、健康状態を維持できるよう心掛けてみて下さい。

 

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この記事の監修
エナみらいグループ総院長 宿田 孝弘
宿田 孝弘
エナみらいグループ総院長
札幌・石狩の産婦人科「エナレディースクリニック」の宿田です。母と子に優しいお産、女性が求める医療がエナにはあります。札幌・石狩市での出産や婦人科疾患のお悩みなど、お気軽にご相談ください。