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マタニティブルーはいつからいつまで?症状や乗り越え方をご紹介

医療法人みらいグループ
マタニティブルーの乗り越え方

妊娠や出産を経て幸せなはずなのに、いつからか急に気持ちが落ち着かず落ち込んでしまうマタニティブルー。名前を聞いたことがあるというママも多いのではないでしょうか?

「妊娠や出産に対して強い不安や恐怖を感じる」
「新しい家族が増えて幸せなはずなのに涙が止まらない」
など、自分自身のコントロールできない感情に困っていませんか?

この記事ではマタニティブルーについて原因やなりやすい人の特徴、チェックリスト、いつからいつまで続くのか、うつとの違いなど徹底解説。マタニティブルーを乗り越えるための方法も紹介しているので参考にして下さい。

マタニティブルーとは

マタニティブルーとは、妊娠中や出産後に起こる不安症のことです。
気持ちが不安定になることから、身体に影響が出る人も居るようです。

正式名称は「マタニティブルーズ」と言い、出産後に起こる不安症を指すもの。
しかし、近年では産前後の不安症を統合したマタニティブルーという呼び方の方が浸透しています。

この記事では、妊娠中や出産後の不安症をまとめて「マタニティブルー」として紹介していきますね。
まずは、マタニティブルーについて症状や原因、なりやすい人、治療法について紹介していきましょう。

マタニティブルーの症状

マタニティブルーの症状には、不安定な心理状態や自律神経の不調があります。

メンタル面に起こる不調

自律神経系に起こる不調

メンタル面で起こる不調のイメージが強いマタニティブルーですが、不眠・倦怠感・頭痛など身体的な負担を感じるママも多いようです。

マタニティブルーの原因

マタニティブルーの原因は未だ解明されていません。
しかし、マタニティブルーに大きく関係しているとして以下の要素が挙げられます。

  • 妊娠、出産に伴う女性ホルモンの大幅な変動
    (女性ホルモンには気持ちを落ち着けたり多幸感を感じたりする作用があり、激減することで感情のコントロールが難しくなる)
  • 妊娠、出産することで起こる心身や環境の変化
    (つわり、お腹が大きくなるなどの身体に起こる変化、将来的な金銭的不安、「良い親にならなければ」という固定観念などの強いプレッシャーなど)
  • 妊娠、出産に伴う体力低下や睡眠不足
    (妊娠、出産によって筋力や体力の低下、赤ちゃんのお世話による睡眠不足など)

妊娠や出産を経ると、心身や環境には大きな変化が起こります。
マタニティブルーはさまざまな要因が複雑に絡み合わさって起こる生理現象と言えるでしょう。

マタニティブルーになりやすい人の特徴

マタニティブルーは誰でもなる可能性があります。
現に30%以上のママはマタニティブルーになったことがあると言われている程。

その中でも、特にマタニティブルーになりやすい人の特徴として以下のものが挙げられます。

  • PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快症候群)になったことがある人
  • 責任感が強い人
  • 真面目な人
  • 悩みを相談するのが苦手な人

マタニティブルーは女性ホルモンの影響を受けて起こると考えられているため、PMSやPMDDなど妊娠前に生理にまつわるトラブルを抱えていた人は注意が必要です。
女性ホルモンの影響を受けやすい体質の人は生理にまつわるトラブルがマタニティブルーを起こしやすいと言われています。

また、過去にうつ病を始めとする精神疾患を患ったことのある人は、真面目で責任感が強い傾向があるためマタニティブルーになる可能性も視野に入れておきましょう。

マタニティブルーの治療方法

マタニティブルーの場合、女性ホルモンの変動が落ち着けば自然に改善されるケースが殆どです。
そもそも、マタニティブルーの場合、精神疾患ではなく生理現象の一種と考えられるため、特別な治療は行わないことが多いでしょう。

ママだけじゃない?パパに起こるパタニティブルーとは

近年パパが育児に参加するケースも増えています。
その中で、パパにもマタニティブルーに似た症状である「パタニティブルー」が起こる場合があることが分かってきました。

パタニティブルーは、慣れない育児へのプレッシャーや将来の経済的な不安をきっかけに起こすパパが多いようです。

その他、ある研究では赤ちゃんと触れ合うことで女性ホルモンの分泌量が増えるパパもいるということが分かっています。
ママと同じく、一時的に増えた女性ホルモンが減少する際にパタニティブルーを起こすケースもあると考えられています。

マタニティブルーセルフチェックリスト

マタニティブルーと言っても、心理的な不安定さを自覚するのは難しいもの。
多くのママは過去を振り返って「あの時、もしかしたらマタニティブルーだったのかも」と思うようです。

「何だか、いつもの自分ではないような気がする」と感じた時には、以下のセルフチェックをしてみて下さい。

  • 急に機嫌が悪くなったりして自分で気持ちをコントロールできないことがある
  • 休んでも体の疲れが抜けず、疲労感を感じ続けている
  • ふとした時、何もないのに悲しい気持ちになって泣いてしまうことがある
  • 突然、強い不安感や絶望感を感じることがある
  • 赤ちゃんのお世話に自信が持てず妊娠前に戻りたいと思う
  • 頭痛や不眠の症状がある

チェックが多い程、マタニティブルーの可能性があります。
「私ってマタニティブルーなのかも」と思ったら、記事の最後で紹介している対処方法を試してみて下さいね。

産前?産後?マタニティブルーがおこりやすいのはいつからいつまで?

マタニティブルーと聞くと、妊娠後期や出産直前で起こるイメージを持つ人が多いようです。
しかし、実際に起こるマタニティブルーはイメージと違うタイミングで起こることも。

マタニティブルーが起こりやすいタイミングや、マタニティブルーの続く期間についても知っておきましょう。

マタニティブルーが起こりやすいタイミング

マタニティブルーは産前、産後どちらでも起こるものと考えられていて、中には両方を体験したというママもいます。

産前だと、妊娠初期から中期になりやすいとされています。
これは、妊娠初期から中期は女性ホルモンの変動が大きい上、つわりなどで身体的にも負担を感じやすいため。
また、出産予定日までまだ遠く先行きの見えない不安を感じるママが多いためです。

出産後は、特に産後1ヶ月の間がもっともマタニティブルーを起こしやすいと言われています。
出産による女性ホルモンの大きな変動の他、産褥期のボロボロの体で始まる新生児のお世話。
心身ともに一番大変な時期でしょう。

妊娠初期~中期と産後1カ月間。
これらの時期が最も、マタニティブルーが起こりやすいと言われています。
しかし、精神的な不調とは個人で全く感じ方も違うものです。
産後1年間はマタニティブルーが起こるかも、と思っておいても良いでしょう。

マタニティブルーが続く期間

マタニティブルーは多くの場合3~4日程度でおさまるとされています。
ただし、心身への負担の受け止め方は人によって大きく異なるため、一概に短期間で治るとも言い難いものです。

中には2週間~3週間近く、不安定な心理状態が続いたというママもいます。

長期化するなら要注意!マタニティブルーと産後うつの違い

マタニティブルーと一緒に知っておきたいのが、「産前うつ」「産後うつ」という病気の存在です。
マタニティブルーが一時的な心身の不調なのに対し、産前うつや産後うつは病気です。
適切な治療や場合によっては服薬が必要なこともあるでしょう。

マタニティブルーと産前うつ、産後うつは症状がとても似通っているため、ママ自身で判断するのは難しいです。
しかし、マタニティブルーが3週間以上続く場合には、産前うつ、産後うつの可能性があるため、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。

【マタニティブルーかも?と思ったら】乗り越えるための5つの方法

生理現象のため、薬や施術による治療方法がないマタニティブルー。
いくら一時的なものとは言え、不調のまま過ごすのは辛いですよね。

自分がマタニティブルーかも、と思ったら以下のような方法で気持ちをリセットしてみて下さい。

1.感情を素直に出してみる

「つわりは赤ちゃんが健康な証拠だから我慢しないといけない」
「産後は赤ちゃんのために、ママの私生活は何もかも後回しにしなければいけない」

そんな固定観念がプレッシャーになってマタニティブルーを起こすママも少なくありません。

ママだって1人の人間、辛いことを辛いと思う気持ちや自分を後回しにしなければいけない状況に不満を感じるのは当たり前なことです。
つわりが辛ければ「辛い」と声に出しても良いですし、泣きたくなったら思いきり泣いてみましょう。

涙は最も簡単にできるSOSのサインです。
家族や周りの人にも、どれ位自分が辛いのかを伝えやすいでしょう。
感情を素直に出して、周りの人に助けてもらうことで、プレッシャーや身体の負担を減らしましょう。

2.体を休めて十分な睡眠をとる

睡眠不足はメンタルの不調を引き起こす大きな要因の1つ。
眠い時に寝たいだけ寝る、ということは心の平穏を保つためにとても大切なことです。

産後は赤ちゃんのお世話で、夜も熟睡できないママが少なくありません。
パパや他の家族、ベビーシッターなど、安心して赤ちゃんを任せられる人に助けてもらい十分な睡眠を取りましょう。

家族の助けを借りられない、パパが仕事を休めないなど、どうしても赤ちゃんを安心して任せられないというママは、赤ちゃんが寝ている時には一緒に眠るようにしてみて下さい。
多少散らかった家でも大丈夫、食事もデリバリーや冷凍食品、お弁当を使ってみてはいかがですか?

まずは赤ちゃんと向き合えるメンタルを取り戻すために、最低限のお世話以外は後回しにして十分な睡眠をとりましょう。

3.原因があることを理解する

他人が不機嫌な時、不機嫌な理由を知っていると「まぁ、あんなことがあったし不機嫌になっても仕方ないか」と思えることがありますよね。
同じように、マタニティブルーの原因が女性ホルモンの影響であることを知れば「今は女性ホルモンが不安定だからイライラしても仕方ない」と納得できることがあります。

今感じている強い不安や不調には原因があることや、短期間で治ることが分かっていればマタニティブルーを受け止めやすくなるでしょう。

また、パパを始めとする身近な人にもマタニティブルーの原因を説明しておくと、不要な軋轢を生まずに済むでしょう。

4.運動をする

体調に問題がないなら、軽いウォーキングやヨガ、スイミングなどの運動を取り入れるのもおすすめです。
適度な運動がメンタルヘルスに効果的だと言われるのには理由があります。
運動することで、脳の血流が良くなり活性化しやすいことが理由の1つとして挙げられていることをご存知でしょうか。

脳が活性化することで幸福感を感じるセロトニンというホルモンが分泌され、ストレス解消に効果が期待できます。
運動している間は、不安になることを考えなくても良いというのもマタニティブルーにはぴったり。
無理なく、心地よい程度の運動で終えるのがポイントですよ。

5.相談する

パパや他の家族、ママ友や地域の相談員さんなど、さまざまな人に相談するのもマタニティブルーのママにおすすめです。
人に話して気持ちが楽になることもありますし、他人に自分の現状を知ってもらうことで、どうしても苦しくなった時のフォローをお願いしやすくなるでしょう。

特に、マタニティブルーから産前うつ、産後うつへと進行した場合、自分自身で変化に気付くのは困難です。
ママと赤ちゃんが健やかに生活していくためにも、周りにいつでもフォローをお願いできるよう相談をしておくと安心できますよ。

まとめ

妊娠や出産は、人生の中でも1、2を争う大きな変化です。
そう考えると、大きな変化に対応できずマタニティブルーが起きてしまうのは仕方のないことかもしれませんね。

女性ホルモンや心身の不調が原因となるマタニティブルーは誰にでも起こり得ることです。
マタニティブルーになっているかもしれないと感じた時は、1人で何とかしようと考えないことが大切。
パパや他の家族、身近な人の手を借りて、穏やかに過ごして下さいね。

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この記事の監修
エナみらいグループ総院長 宿田 孝弘
宿田 孝弘
エナみらいグループ総院長
札幌・石狩の産婦人科「エナレディースクリニック」の宿田です。母と子に優しいお産、女性が求める医療がエナにはあります。札幌・石狩市での出産や婦人科疾患のお悩みなど、お気軽にご相談ください。