
妊娠後期に入り、出産を控えるなかで「会陰(えいん)マッサージをしておくとよいですよ」と産婦人科医や助産師から勧められることがあります。会陰マッサージは、出産前にご自身でできるセルフケアのひとつです。
身体へのケアだけでなく、出産に向けた気持ちの準備にもつながると考えられています。
この記事では、会陰マッサージの効果や方法についてわかりやすくご紹介します。出産を控えた方は、ぜひ参考にしてみてください。
会陰マッサージとは
会陰マッサージとは、出産を控えた妊婦さんが行う会陰のセルフケアのことです。会陰の柔軟性を高めることで、出産をスムーズに進めたり、出産時のダメージを軽減したりする効果が期待されています。
会陰ってどこ?
会陰は、膣と肛門の間にある部分を指します。一般的には2〜3cmほどの長さとされていますが、個人差があり、短い場合もあります。
この部分は伸縮性があり、出産時に伸びることで赤ちゃんが外へ出やすくなる役割を担っています。
会陰マッサージに期待できる効果
会陰マッサージには、以下の効果が期待できます。
会陰裂傷の予防
会陰裂傷とは、出産時に会陰が裂けてしまう状態のことです。会陰の伸びが不十分な場合や分娩の進行が急な場合、赤ちゃんが大きい場合などに起こることがあります。
会陰裂傷は損傷部分の深さによって1~4度に分類され、重症の場合は肛門粘膜や直腸粘膜にまで傷が広がることもあります。
会陰マッサージによって会陰の柔軟性を高めておくことで、裂傷のリスクを軽減できる可能性があります。
会陰切開の回避につながる可能性
これまで、会陰切開を必要としない出産でも行われることがありましたが、会陰が十分に伸びる場合には、必ずしも切開が必要とは限りません。近年は、必要な場合にのみ行うという考え方が広がっており、会陰の伸びが十分であれば、切開を行わないケースも増えています。
会陰マッサージによって柔軟性を高めることで、会陰切開を回避できる可能性があると考えられています。
出産をスムーズにする
会陰の柔らかさや伸びやすさを高めておくことで、赤ちゃんが通りやすくなり、出産がスムーズに進むことが期待されます。
出産への不安を和らげる
出産前に自分の体をケアする時間を持つことで、出産に対する不安が和らぐことがあります。
普段あまり意識しない会陰に触れ、「ここが伸びて赤ちゃんが出てくる」というイメージを持つことで、出産への理解が深まり、安心感につながることもあります。
また、「出産に向けて準備ができている」という実感は、前向きな気持ちにもつながります。
会陰マッサージはいつから始めるといいの?
会陰マッサージは、妊娠34週頃から始めるのが一般的とされています。
会陰への刺激によってお腹の張りを感じる場合もあるため、早い時期からの実施は避け、体調をみながら行いましょう。
会陰マッサージはどれくらいの頻度でするといいの?
会陰マッサージは、週に2・3回程度を目安に行うとよいとされています。
継続して行うことで、会陰の皮膚が保湿され、柔らかさや伸びやすさを保つことにつながります。
会陰マッサージにおすすめのオイル

低刺激で肌にやさしい植物性のオイルを用意しましょう。
- カレンデュラオイル
- ホホバオイル
- スウィートアーモンドオイル
- オリーブオイル
- 太白ごま油(香りの少ない白いごま油) など
いずれも保湿効果があり、会陰マッサージに適しています。
市販の製品では、AMOMA(アモーマ)のカレンデュラオイル、無印良品のホホバオイルやスウィートアーモンドオイル、WELEDA(ヴェレダ)のカレンドラベビーオイルなど、植物由来のオイルを選ぶと安心です。
会陰マッサージのやり方
妊娠後期はお腹も大きくなるため、無理のない姿勢で行うことが大切です。
また、手は清潔にし、爪は短く整えておきましょう。
会陰マッサージをする体勢
座った状態や、リラックスできる無理のない姿勢で行いましょう。ベッドや椅子に座り、上半身を起こした状態で行う方法がおすすめです。
また、立った姿勢の方が楽に感じる場合は、片足を椅子や台などに乗せて行う方法もあります。ただし、バランスを崩して転倒するおそれがあるため、安全に配慮しながら行うようにしましょう。
会陰マッサージの手順
- オイルで会陰部をなでる
- オイルを付けた指1-2本(親指または人差し指と中指)を膣に3-4cm 挿入し、3時から9時の方向に圧をかける。
これらのマッサージを、5〜10分程度を目安に行いましょう。
なお、オイルの量は指から滴らない程度、少しで問題ありません。
会陰マッサージのポイント
お風呂上がりや入浴中など、清潔で身体が温まった状態で行うのがおすすめです。
また、膣内に触れることに抵抗がある場合は、表面のケアだけでも問題ありません。
会陰の皮膚は乾燥すると硬くなりやすいため、オイルで保湿するだけでも効果が期待できます。
まずはオイルで会陰部をなでることから始め、次に指を第一関節まで挿入して軽く圧を感じる程度に行うなど、徐々にチャレンジしていきましょう。
「できる範囲で取り入れる」くらいの気持ちで続けてみてください。
会陰マッサージをするときの注意点
会陰マッサージを行う際には、いくつか気をつけておきたいポイントがあります。
清潔な手で行う
不衛生な手で会陰マッサージを行うと、細菌感染のリスクがあります。
必ず手を清潔にしてから行うようにしましょう。
パッチテストを行う
会陰はデリケートな部分のため、使用するオイルが肌に合うかどうかを事前に確認しておくことが大切です。
二の腕の内側などに少量のオイルを塗り、赤みやかゆみなどの異常が出ないかを確認してから使用すると安心です。
お腹の張りを感じたら中止する
会陰マッサージ中にお腹の張りを感じた場合は、無理をせずすぐに中止しましょう。
しばらく横になって安静にしても張りが落ち着かない場合は、かかりつけの医療機関に相談することをおすすめします。
切迫早産や安静指示があった場合は医師に相談する
これまでの妊娠で、切迫流産や切迫早産と診断されたことがある方や、安静指示が出ていた方は、会陰マッサージを行う前に医師へ相談しておきましょう。
また、妊娠中に何らかのトラブルがあった場合は、妊娠37週以降から始める方が安心とされています。
必ずしも会陰裂傷や会陰切開を防げるわけではない
会陰切開を避けたい、会陰裂傷を予防したいという思いから、会陰マッサージに取り組む方もいらっしゃいます。
しかし、会陰マッサージを行ったからといって、必ずしも会陰切開や会陰裂傷を避けられるわけではありません。
出産の経過は一人ひとり異なるため、その時の状況によっては、会陰裂傷を防ぐ目的で会陰切開が必要となる場合もあります。
また、切開を行わないと判断された場合でも、思いがけず裂傷が起こる可能性もあります。
あくまで「予防効果が期待できるケアのひとつ」として、無理のない範囲で取り入れていくことが大切です。
まとめ
会陰マッサージは、出産に向けた準備のひとつとして取り入れられるセルフケアです。
体を整えるだけでなく、出産に向けた気持ちの準備にもつながります。
無理のない範囲で取り入れながら、ご自身の体と向き合う時間を大切にしてみてください。
安心して出産を迎えられるよう、少しずつ準備を進めていきましょう。
