
出産に際して身近な人のサポートを受けることが難しい場合や、初めての出産・育児に不安を感じている場合、ママの実家で産前・産後を過ごす「里帰り出産」を選択する人も少なくありません。生まれ育った実家で家族のサポートを受けながら出産や新生児の育児に取り組みたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、里帰り出産について詳しく解説します。里帰り出産の流れや準備のポイント、必要なものなどをわかりやすく紹介します。里帰り出産を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
里帰り出産とは
里帰り出産とは、妊娠中は自宅で過ごし、出産前後の時期をママの実家で過ごす出産・育児スタイルです。生まれ育った実家で家族のサポートを受けながら出産や育児に臨めるため、安心感を得やすいことが特徴です。また、産後の体を休めながら新生児のお世話ができる点も、里帰り出産が選ばれる理由のひとつとなっています。
里帰り出産の割合
野村総合研究所が実施した、令和5年度・里帰り出産等の実態に関する調査研究事業の報告書によると、調査対象となった16,118名のうち、47.1%のママが里帰り出産を経験していました。
ほぼ半数のママが里帰り出産を選択していることがわかります。
また、里帰り出産をしていないママに理由を尋ねたところ、約6割が「里帰りの必要がなかったため」と回答しています。一方で、残りの約4割は何らかの事情によって里帰り出産を選択できなかったことも報告されています。
参考:野村総合研究所|里帰り出産等の実態に関する調査研究事業-報告書-(令和6年3月)
里帰り出産を選択する背景

産前・産後は心身への負担が大きく、周囲のサポートが必要になる時期です。
男性の育児休暇取得率は年々上昇していますが、家庭によっては十分なサポートを受けることが難しいケースもあります。また、実母など気心の知れた家族の支えを受けながら出産や育児に臨みたいと考えるママも少なくありません。
一方で、里帰り出産を選択しない家庭もあります。実家周辺の医療体制や分娩施設の状況などを踏まえ、現在住んでいる地域で出産することを選ぶケースもあります。里帰り出産が適しているかどうかは、ご家族の状況や周辺の医療体制によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを比較しながら検討することが大切です。
里帰り出産のメリット

続いては、里帰り出産のメリットについてみていきましょう。
ママのメンタルが安定しやすい
初めての出産や上の子を育てながらの出産では、不安や負担を感じる人も少なくありません。
里帰り出産をすることで、出産や育児を経験した実母などに相談しながら過ごせる安心感が得られます。また、上の子のお世話を手伝ってもらえることで、負担の軽減にもつながります。
産後のサポートをしてもらえる
里帰り出産では、産後のサポートを受けやすい点も大きなメリットです。
産後6〜8週間は「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれ、妊娠・出産による体の回復を優先することが大切な時期です。
実家で家族のサポートを受けながら過ごすことで、無理なく体を休められ、その後の育児に向けた準備がしやすくなります。
上の子のケアをしてもらえる
経産婦のママの場合、「陣痛が始まったら上の子をどうする?」という不安を抱えることもあるでしょう。
里帰り出産をすることで、陣痛時や入院中に上の子のお世話を家族にお願いしやすくなります。上の子の預け先について心配が少なくなることも、里帰り出産のメリットのひとつです。
里帰り出産のデメリット
里帰り出産にはメリットだけでなく、注意しておきたい点もあります。
妊婦健診と出産をする病院が異なる
里帰り出産では、妊婦健診を受ける病院と出産する病院が異なることが一般的です。
そのため、紹介状や検査結果の共有が必要になります。スムーズに出産を迎えるためにも、病院から案内された手続きを早めに進めておきましょう。
病院探しが難しいことがある
実家周辺に分娩対応を行っている病院が少ない地域もあります。
病院までの距離が遠い場合、妊婦健診の通院負担が大きくなるほか、陣痛が始まった際の移動に不安を感じるケースもあります。
高度な医療を受けられる病院が少ないことがある
実家周辺の医療体制によっては、高度な医療を提供できる病院が限られていることがあります。
妊娠や出産は経過が順調であっても予期せぬトラブルが起こることがあります。万が一の場合に備え、緊急時の対応体制についても確認しておくことが大切です。
里帰り出産で病院を選ぶポイント

里帰り出産では、出産する病院選びも重要なポイントです。不安を少しでも減らし、安心して出産を迎えられる病院を選びましょう。
通院しやすい場所か確認する
妊娠後期は妊婦健診の頻度が増えるため、病院までの距離や交通手段も確認しておきましょう。陣痛が始まった際の移動も考慮し、無理なく通院できる病院を選ぶことが大切です。
緊急時の対応体制を確認する
助産院や産婦人科クリニックでの出産を検討している場合は、緊急時に連携できる医療機関があるか確認しておきましょう。
分娩件数や対応可能な医療内容、緊急時の連携体制などは病院ごとに異なります。万が一トラブルが発生した際にも適切な対応を受けられるよう、事前に確認しておくと安心です。
口コミや評判を参考にする
里帰り先に知人や友人がいる場合は、実際の口コミや評判を聞いてみるのもおすすめです。
母親が通っていた病院や自分が独身の頃に通った事のある病院であっても、医師やスタッフ、運営方針が変わっていることがあります。
できるだけ新しい情報を集めながら、自分に合った病院を選びましょう。
【時期別】里帰り出産の流れとポイント
里帰り出産の手続きや準備は妊娠中から進める必要があります。
準備が遅れてしまうと、希望する病院で分娩予約が取れなかったり、里帰りのスケジュールが立てづらくなったりすることもあります。
ここからは、妊娠時期ごとの流れとポイントについて紹介します。
妊娠初期
妊娠初期は、多くのママにつわり症状がみられる時期です。また、妊娠全期間のなかでも流産が起こりやすい時期とされています。体調を優先しながら、無理のない範囲で里帰り出産の準備を始めましょう。
里帰り出産を検討・打診する
まずは里帰り出産をするかどうかを家族で話し合いましょう。
里帰り出産を選択する理由としては、以下のようなものがあります。
- 初めての出産で不安がある分娩や新生児の育児に不安があるから
- パートナーの仕事が忙しく十分なサポートを受けにくい
- 上の子のお世話について不安がある
- 実家のサポートを受けながら産後を過ごしたい
一方で、自宅で出産・育児を行い、産後ケア事業や家事代行サービスなどを活用する家庭もあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご家族の状況に合わせて検討することが大切です。
里帰り出産を希望する場合は、実家の家族とも早めに相談しておきましょう。
出産する病院を選ぶ
里帰り先で出産する病院については、妊娠14週頃までを目安に情報収集を始め、問い合わせや分娩予約を行うのがおすすめです。
病院によっては分娩予約時に予約金が必要な場合もあります。
また、地域によっては分娩予約数に上限を設けている病院もあるため、早めに確認しておくと安心です。
妊娠中期
妊娠中期は一般的に「安定期」と呼ばれますが、妊娠中のトラブルがなくなるわけではありません。
体調に配慮しながら、出産に向けた準備を進めていきましょう。
出産する病院を受診する
里帰り先の病院によっては、妊娠中期頃に一度受診するよう案内される場合があります。
受診時期や必要な検査は病院ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、実際に受診することで、病院の雰囲気や設備、スタッフの対応などを確認できます。
安心して出産を迎えるためにも、気になる点はこの時期に確認しておくのがおすすめです。
通院手段・周辺環境を確認しておく
妊娠後期になると妊婦健診の頻度が増えていきます。
そのため、病院までの移動手段や所要時間を確認しておくことも大切です。
また、出産後の生活も見据えて、周辺にベビーグッズを購入できるお店があるか、小児科のある病院はあるかなど、育児期間も考慮して周辺環境を確認しておくのもおすすめです。
妊娠後期
妊娠後期になるとお腹も大きくなり、出産が近づいてきます。出産予定日はあくまでも目安であり、予定日前に陣痛や破水が起こることもあります。
余裕を持ったスケジュールで里帰りを行いましょう。
早めに里帰りをする
産休に入ったタイミングで里帰りを始める人も多くいます。
また、上の子がいる場合は、保育園や幼稚園などにも事前に相談しておくと安心です。
実家が遠方で飛行機を利用する場合は、航空会社によって搭乗条件が異なるため、事前に確認しておきましょう。妊娠週数によっては診断書の提出が必要となるほか、医師の同伴が求められる場合もあります。
ベビーグッズを準備する
里帰り後は、赤ちゃんを迎えるための準備を進めます。
ベビー服やおむつなどの育児用品だけでなく、入院バッグや退院時の準備も整えておきましょう。
また、産後にどのようなサポートをお願いするか、育児方針についてどう考えているかなどを家族と話し合っておくことも大切です。
里帰り出産の期間はいつから?いつ帰る?
里帰り出産を検討している人のなかには、「いつ頃から実家に帰るの?」「いつ自宅に戻るの?」といった疑問の声も多く聞かれます。
実際に里帰り出産を経験した人の傾向をもとに紹介します。
里帰りする時期の目安

野村総合研究所が実施した「令和5年度 里帰り出産等の実態に関する調査研究事業報告書」によると、里帰りを開始した時期として最も多かったのは「産後1か月未満」で、全体の36.4%を占めていました。
出産前に実家へ帰るケースだけでなく、自宅近くの病院で出産した後に育児のサポートを受けるため実家へ帰るケースも少なくないことがうかがえます。
また、「妊娠8か月以上9か月未満」「妊娠9か月以上10か月未満」に里帰りを開始したケースも多く見られました。「妊娠9か月以上10か月未満」に里帰りを開始した人が多い理由の一つとして、産休開始のタイミングが影響している可能性があります。産休を取得している場合は出産予定日の6週間前から産休に入るため、産休開始後に準備を進めて里帰りをする人も少なくありません。
里帰りを始める時期は、実家との距離や家族のサポート体制、出産する病院の方針などによって異なるため、早めに確認しておくことが大切です。
参考:野村総合研究所|里帰り出産等の実態に関する調査研究事業-報告書-(令和6年3月)
自宅に帰る時期の目安

同調査によると、里帰り出産後に自宅へ戻る時期として最も多かったのは、「産後1か月以降2か月未満」で、全体の45.0%を占めていました。産後1か月健診のタイミングで自宅へ戻るケースが多いと考えられます。
また、「産後1か月未満」で自宅へ戻ったケースも16.2%と、2番目に多い結果となっています。パートナーとともに育児をスタートしたいと考え、比較的早い時期に自宅へ戻るケースもあるようです。
近年は産後ケア事業の普及や男性の育児休業取得率の向上などにより、自宅で産褥期を過ごしやすい環境も整いつつあります。こうした社会的な変化も、早い時期に自宅へ戻る選択につながっている可能性があります。
里帰り出産の注意点
里帰り出産を選択する際には、以下の点に注意しましょう。
安全に出産できる環境を優先する
里帰り出産を検討する際は、出産後のサポートだけでなく、安全に出産できる医療体制が整っているかを確認することが大切です。
妊娠や出産では、予期しないトラブルが起こることもあります。
病院によって対応できる医療内容や設備は異なるため、緊急時に高次医療機関へ搬送できる体制が整っているか、また必要な医療を院内で提供できる環境があるかなども確認しておくと安心です。
実家の家族の理解を得ておく
里帰り出産では、実家で同居している家族との関係についても事前に確認しておくことが大切です。例えば、実両親は里帰りを歓迎していても、兄弟やその家族が同居している場合は、生活環境の変化に不安を感じることもあります。
また、家族に喫煙者がいる場合は、赤ちゃんの健康への配慮について事前に話し合っておくと安心です。
里帰り期間中は、赤ちゃん中心の生活となり、生活リズムや家事の分担などにも変化が生じます。お互いに気持ちよく過ごせるよう、事前に家族と相談し、理解を得ておくことをおすすめします。
もし実家での生活が難しい場合は、実両親に自宅へ来てもらったり、産後ケア事業や家事支援サービスを活用したりする方法もあります。里帰り出産にこだわりすぎず、ご家族に合ったサポート体制を検討しましょう。
里帰り出産のよくある質問
最後に里帰り出産でよくある質問について紹介します。
妊婦健診の助成券は里帰り出産で使用できる?
妊婦健診の助成券は、住んでいる自治体以外では利用できないことがあります。
ただし、多くの自治体では後日申請を行うことで費用の一部が払い戻される制度があります。
必要書類や手続き方法は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
出生届はどこで提出する?
出生届は以下のいずれかの市区町村で提出できます。
- 父または母の本籍地
- 子どもの出生地
- 届出人の所在地
つまり、どこで出生届を出しても問題ないということです。
ただし、提出期限は出生した日を含めて14日以内です。
事前に誰が提出するかを家族で話し合っておくと安心です。
里帰り出産で実家にお礼は必要?
里帰り出産でお世話になる実家へ、感謝の気持ちとしてお礼を渡す家庭もあります。ママにとっては実家ですが、結婚して独立した世帯を持っているため、夫婦からのお礼として贈るケースも少なくありません。
里帰り出産でお世話になる実家へ、感謝の気持ちとしてお礼を渡す家庭もあります。ママにとっては実家ですが、結婚して自分の世帯を持っているため、夫婦からのお礼として贈るケースも少なくありません。
お礼の内容はさまざまですが、里帰り期間中の生活費の一部を渡したり、菓子折りやカタログギフト、商品券などを贈ったりすることが多いようです。
必ずしもお礼が必要というわけではありませんが、お世話になることへの感謝の気持ちを伝えられるとよいでしょう。
まとめ

里帰り出産には、実家のサポートを受けながら出産や育児に臨めるというメリットがある一方で、病院探しや家族との調整など事前に準備しておきたいポイントもあります。
また、出産前に実家へ帰るケースだけでなく、出産後に育児のサポートを受けるために里帰りするケースもあります。ご自身やご家族の状況に合わせて、無理のない方法を選ぶことが大切です。
エナレディースクリニックでは、里帰り出産を受け入れております。
札幌市・石狩市近郊で里帰り出産をご検討中の方、または、里帰り先での分娩施設選びに悩まれている方は、施設見学も行っておりますので、是非、お気軽にお問い合わせください。なお、里帰りの方も事前の分娩予約が必要となりますので、分娩予定日が決まりましたら、できるだけお早めにお電話にて分娩予約をお願いします。
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