
出産後にみられる「悪露(おろ)」。「思っていたより量が多い」「いつまで続くの?」「この色やにおいは大丈夫?」など、産後の悪露について不安や疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。
悪露は、出産後の子宮が回復していく過程でみられるものです。時期によって色や量などが変化するため、あらかじめ一般的な経過を知っておくと、産後の体の変化にも落ち着いて対応しやすくなります。
この記事では、悪露とはどのようなものなのか、いつまで続くのかを解説します。色や量の変化、ケアのポイント、病院を受診する目安についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
悪露(おろ)とは
悪露(おろ)とは、産後に子宮の中に残っていた粘膜や卵膜などの分泌物と、出産のときの出血が混ざり合って排出されるもののことです。経血と同様に膣から排出されていき、子宮が回復するにつれて、分泌量は少しずつ減っていきます。
子宮にぴったりとくっついていた胎盤が剥がれ落ちる際にも、子宮内は傷付いて出血を伴います。これらの出血や残った卵膜、粘膜などが悪露として排出されるのです。
悪露として子宮に残っていたものを排出しながら、子宮は少しずつ出産前の大きさに戻っていきます。子宮が出産前の状態に戻っていくのに伴い、徐々に悪露が減っていき、子宮が回復している経過をみる一つの目安になります。
悪露はいつからいつまで続く?

悪露は産後すぐに分泌が始まります。およそ1ヶ月半から2ヶ月までには、分泌が止まるケースが多いです。
出産前の子宮は鶏の卵ほどの大きさですが、妊娠すると胎児の成長に合わせて徐々に大きくなり、妊娠後期には長さや幅が約6倍、重さが約20倍まで増加します。ここまで大きくなった子宮が急激に収縮していくことで、胎盤が剥がれたことでできた傷が塞がり、子宮が妊娠前の状態に戻っていきます。
産後2ヶ月を過ぎても悪露が続く場合、子宮が正常に収縮できない「子宮復古不全」を起こしている可能性があるため、かかりつけ医を受診しましょう。
悪露の色の変化と止まるまでの流れ
悪露は、分娩からの経過時間や子宮の回復具合によって、色や排出量、排出物の形態などが変化していきます。
悪露がなくなるまでの流れを知ることで、自分自身の子宮の回復具合を確認することができます。
| 時期 | 名前 | 色 | 特徴 |
| 分娩直後~4日目頃 | 赤色悪露 | 赤~暗赤色 | 量が多く、血の匂い、サビた鉄の匂い |
| 産後5日目~2週間頃 | 褐色悪露 | 茶褐色 | 量は減っていき多少の臭気がある(徐々に収まる) |
| 産後2~3週間頃 | 黄色悪露 | 薄い茶色、クリーム色 | 量は少なく、臭いもしなくなる |
| 産後4~6週間頃 | 白色悪露 | 白色~とうめい | 極少量で臭いはしない |

【分娩直後~4日目頃】赤色悪露
分娩の直後から数日間は、鮮血の悪露が大量に分泌されます。胎盤が剥がれた部分の傷から出血が続いているため、産褥(さんじょく)パッドや大きいサイズの生理用ナプキン(多い日・夜用)などを使用し、こまめに取り替えましょう。血液だけでなく、子宮内に残った卵膜なども一緒に排出されるため、ドロっとしたレバー状の塊が出ることもあります。
会陰切開をした人の場合、洗浄綿で傷口を拭って清潔にし、不衛生にならないよう注意してください。この時期は産後入院中のため、毎日子宮の戻り具合を医師や看護師・助産師がチェックします。数時間で産褥シーツから悪露が溢れてしまう、大きな塊が何度も出てくるといった場合は、すぐに医師や看護師に相談しましょう。
| 赤色悪露 | |
| 色 | 赤~暗赤色 |
| 量 | 多い |
| 匂い | 血の匂い、サビた鉄の匂い |
【産後5日目~2週間頃】褐色悪露
赤色悪露が落ち着いてくると、産後2週間頃まで褐色の悪露が続きます。これを褐色悪露(かっしょくおろ)と言います。
子宮の収縮に伴い、徐々に胎盤が剥がれた際の傷が塞がり血液の排出が減少していきます。ヘモグロビンが変性することで赤色から徐々に茶褐色に変わっていき、粘り気も少しずつ増していくのが特徴です。
匂いは強くないものの、健常な月経と同様に多少の匂いを感じることがあります。
また、腹圧がかかった際に、鮮やかな赤色の悪露が出ることがありますが、一時的であれば問題ありません。鮮やかな赤色の悪露が止まらない場合や、減っていたはずの悪露が再び増えてしまう場合は、かかりつけ医を受診してください。
| 褐色悪露(かっしょくおろ) | |
| 色 | 茶褐色 |
| 量 | 中 |
| 匂い | 多少の臭気(徐々に収まる) |
【産後2~3週間頃】黄色悪露
褐色悪露が落ち着いてくると、ほとんど傷が塞がり、子宮内に残っていた粘膜等も排出し終わっているケースが多いです。ここからは、白血球を多く含む体液にほんの少し血液成分が混じる程度なので、黄色っぽい悪露に見えます。これを「黄色悪露(おうしょくおろ)」と言います。
においも無臭になり、やや粘性の高い薄い色の悪露が排出されます。
| 黄色悪露(おうしょくおろ) | |
| 色 | 薄い茶色、クリーム色 |
| 量 | 小 |
| 匂い | なし |
【産後4~6週間頃】白色悪露
黄色悪露が落ち着いてくると、排出量はほとんどなくなり、白色のおりもののような粘液に変わっていきます。これを白色悪露(はくしょくおろ)といいます。
量も極少量なので、おりものシートなどでも対応できるでしょう。子宮がほとんど正常な大きさに戻りつつあるサインです。産後8週間を目安に、徐々に白色悪露も分泌が止まり、悪露の排出が終わります。
| 白色悪露(はくしょくおろ) | |
| 色 | 白色~とうめい |
| 量 | 極少 |
| 匂い | なし |
悪露のケアポイント
悪露をケアする際には、以下のポイントをおさえておきましょう。
量が多い間は産褥パッドを使う
出産後すぐの悪露は非常に多く、生理用ナプキンでは対応しきれないケースも少なくありません。悪露の吸収に優れた産褥パッドを使用しましょう。
産褥パッドは、生理用ナプキンよりも厚みがあり、吸収力も高いのが特徴です。特に、産後3日目までの大量の出血をしっかりと吸収できます。また、生理用ナプキンよりも悪露の量や色を確認しやすいことから、入院先の医療機関から、産褥パッドを使うようすすめられることもあるようです。
もちろん、産褥パッドを用意していなかったり、足りなくなってしまった場合は、夜用のナプキンなどで代用しても構いませんが、できる限り産褥パッドを利用してみてください。
清潔に保つ
産後は、会陰切開の傷や子宮内の傷が細菌感染を起こしてしまう可能性もあります。産褥パッドやナプキンはこまめに取り替え、患部を清潔に保つよう心がけましょう。また、会陰切開をしている場合、洗浄綿を使って患部を清潔に保つよう指導されるケースもあります。
汚れたパッドやナプキンを長時間交換しないと雑菌が繁殖し、会陰切開の傷や子宮の傷の回復を妨げてしまうことがあります。清潔に保てるよう、洗浄綿でのケアやこまめなナプキンの交換を心がけましょう。
入浴は医師の許可がおりてから
産後は原則シャワーのみで入浴し、医師の許可がおりるまで湯舟に浸かるのは控えましょう。
湯舟に浸かることで、万が一子宮内に雑菌が入ってしまうと、感染症を起こすリスクがあります。多くの場合、問題がなければ産後1ヶ月の健診で入浴の許可がおりるでしょう。医師の許可がでるまでは、湯舟への入浴は控え、シャワーのみ使うようにしましょう。
タンポンは使用しない
タンポンを使用すると、出産の際に受けた膣の傷を刺激してしまうことがあります。また、長時間悪露を留めることで雑菌の繁殖を促してしまうリスクがあるため、産褥期は使用を控えてください。
悪露で病院を受診する目安

悪露は、子宮の回復を示すサインでもあります。一方で、子宮にトラブルが起きたときは、悪露の変化がきっかけで気が付くこともあるでしょう。
産後、悪露に以下のような変化がみられる場合は、かかりつけ医を受診しましょう。
- 鮮血の悪露が産後4日を過ぎても出続ける
- 産後4日を過ぎても生理用ナプキンが短時間でいっぱいになるくらい
- 徐々に減少していた悪露が急に増えた
- 大きな塊が何度も出てくる
- 悪露から強い臭いがする
- 悪露の異変に加えて、発熱がある
これらの症状がみられる場合、子宮が正常に修復されていなかったり、細菌感染を起こしていたりする可能性があります。
悪露の異常で考えられる病気
悪露の異常から考えられる病気には、次のようなものがあります。
子宮復古不全
子宮復古不全(しきゅうふっこふぜん)とは、妊娠・出産によって大きくなった子宮が、何らかの理由によって正常な大きさに戻らない状態を指します。子宮がうまく収縮しないことで、出産による傷が塞がりにくくなり、出血量が減らない、悪露が長く続くといった症状を伴うことが多いです。
子宮内感染
子宮内に細菌が侵入・増殖することで、子宮内感染を引き起こすこともあります。特に産後は分娩によって子宮内膜が傷つき、子宮口が開いた状態がしばらく続くため、腟や尿道などから細菌が入り込みやすい状態になっています。発熱や骨盤痛、下腹部痛を伴うことが多く、細菌が増殖することで悪露に強いにおいが出てくるのも特徴のひとつです。
胎盤遺残
胎盤遺残とは、出産後に胎盤の一部が子宮内に残ってしまうことをいいます。子宮内に胎盤の一部が残ってしまうと、子宮が正常に戻るための収縮を妨げられたり、細菌感染しやすくなったりします。
悪露に関するよくある質問

最後に、悪露に関するよくある質問を紹介します。
悪露の時は生理用ナプキンを使ってもいいの?
悪露のケアには、生理用ナプキンを使用しても問題ありません。
夜用や多い日用、普通の日用など、悪露の量に合ったナプキンを使用しましょう。しかし、産後すぐの赤色悪露がみられる間は、悪露の量が多くナプキンでは対処が難しいケースも少なくありません。悪露の量が多い期間は、産褥パッドを使うのがおすすめです。
悪露で塊が出てくるのは異常?
悪露では、レバー状の塊が出てくることがあり、異常ではありません。
しかし、塊が何度も出てきたり、大きな塊が排出されたりする場合は、医師に相談してみるのがおすすめです。
悪露の量が増えたらどうすればいい?
減少していた悪露の量が増えた場合、子宮内で何らかのトラブルが起きている可能性があります。かかりつけ医を受診しましょう。
体を動かすことで一時的に悪露の量が増えることはありますが、一時的であれば問題ありません。
悪露から不快な臭いがするのは普通?
悪露から不快な臭いがする場合は、子宮内感染を起こしている可能性があります。
悪露は、時期によって多少のにおいがあるのが普通で、月経時と同程度なら心配いりません。明らかな腐敗臭や強い臭いを感じる場合は速やかにかかりつけ医を受診してください。
帝王切開をしても悪露はでるの?
帝王切開による出産であっても、悪露は出ます。
個人差はありますが経腟分娩に比べると量は少ない傾向にあり、比較的長く続くケースが多いと言われています。
悪露を早く止める方法はある?
授乳することで子宮の収縮が促され、子宮の回復が早まって、悪露が早く終わるケースもあります。
授乳の際に赤ちゃんが乳頭を吸うと、オキシトシンというホルモンが分泌されます。オキシトシンは子宮収縮を促す働きがあるため、母乳育児をしている人は比較的子宮の回復が早く、悪露が止まるのも早い傾向にあります。
まとめ
今回は、妊婦さんに意外と知られていない「悪露」について紹介しました。出産は、ゴールではなくスタートです。育児のスタートに伴う体の変化である悪露についても、前もって知識を持っておきましょう。
産後の子宮の回復を示すパラメーターである悪露を、上手にケアして産褥期を乗り切ってください。
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