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つわり(悪阻)はいつからいつまで続く?原因や症状別の対策を紹介

医療法人みらいグループ
つわり(悪阻)はいつからいつまで続く?原因や対策も徹底解説

初めての妊娠は戸惑いも多いですよね。多くの妊婦さんが悩まされる事のひとつに悪阻(つわり)があります。つわりの症状は個人差も大きく、周りの妊婦さんと違っていると不安を感じることも少なくありません。
つわりについて正しい知識を持っていれば、不安を減らし、辛い症状を和らげる工夫をすることもできます。

この記事では、つわりの原因症状を軽減する方法について紹介します。

つわり(悪阻)とは

つわりとは、妊娠している女性に見られる吐き気や食欲不審などの症状を指します。妊婦している女性の8割に見られる症状として知られていますが、症状の出る時期や強さは個人差が大きいのが特徴です。

軽微なつわり症状で済んだという人もいれば、重篤な症状で医療措置が必要になる人もいます。

悪阻の読み方

つわりは漢字で「悪阻」と書きます。悪阻と記されている場合、つわりと読むのが正しい読み方です。

一方、つわりは医療用語で悪阻(おそ)と呼ばれています。そのため、「妊娠悪阻」などの病名を表す際には「にんしんおそ」と読むのが一般的です。

妊娠悪阻とつわりの違い

妊娠悪阻(にんしんおそ)とは、重篤なつわり症状を指します。吐き気や食欲不振、嘔吐などにより脱水症状、体重減少などの症状が見られ、医療的ケアを必要とする状態です。

妊娠した女性の約0.3~2%に見られる症状で、問診、尿検査、血液検査などによって診断されます。

つわりの原因

つわりの原因は未だ解明されていませんが、妊娠によるホルモンバランスの変化によって起こっている症状だという説が有力です。

妊娠によって活性化されるホルモン物質が、第4脳室底(脳幹と小脳に挟まれた空間)にある嘔吐中枢を刺激することによって、吐き気や様々な不快感を生じさせます。
また、妊娠により黄体ホルモンであるプロゲステロンが増加し、体内にガスが溜まりやすくなることも、吐き気の原因となります。

この他にも妊娠中はビタミン不足になりやすいという点もあります。ビタミン不足により、代謝障害や血糖値の変化、精神的な影響が起こる場合があるようです。

つわりが起こるのはいつからいつまで?

つわりが起こるのはいつからいつまで?
つわりは早い人では、月経が遅れたと気づいた時点から始まる人もいます。一般的に妊娠5週目頃から始まることが多いようです。
一般的に、15~16週ごろにはつわりの症状が落ち着いてくると言われています。

しかしつわりの期間や症状の重さは個人差が大きいです。妊娠初期から後期まで、ほとんどつわりらしいものを経験しない人もいれば、出産の直前までつわりが続く人もいます。
体質によってはつわりは長期に及ぶので、上手く付き合っていく方法を見つける必要があるでしょう。

つわりのピークはいつ?

つわりの症状の現れ方には個人差が大きいですが、一般的に妊娠6~9週頃に最も強く症状が現れやすい傾向にあります。

一方で、10週以降も酷いつわり症状が続いたというケースや、妊娠初期に落ち着いた症状が妊娠後期に再発するというケースも少なくありません。

つわりの症状

つわりの症状

つわりの代表的な症状には次のようなものが挙げられます。

吐き気

胃や胸のむかつき、吐き気が起こります。食べても吐いてしまったり、空腹時にはより吐き気が強くなるけれど、気持ち悪くて食べられないといった症状が見られます。症状が重いと水を飲んでも吐いてしまうという方もいるようです。
逆に食べ物が常に口に入っていないと吐き気がする、という「食べつわり」という症状もあります。

匂いに敏感になる

妊娠前には全く気にならなかった匂いに、大きな不快感を感じるようになる方も多いようです。これには妊娠により自律神経が不安定になることが関係しています。
よく聞くのはご飯の炊ける匂いや煮物など。また、シャンプーやアロマなど普段いい匂いと感じられる香りにも敏感に反応してしまい受け付けられなくなる方もいるようです。

眠気、イライラ、頭痛

これもホルモンバランスが関係しています。寝てもずっと眠かったり、常にイライラした状態が続いたりします。また頭痛が起こることもあります。
このような状態の時、妊娠前と同じような活動を続けることは難しいですから、ホルモンによりそういう状態になっていることを理解して、無理をしないようにすることは大事でしょう。

つわりの症状が出やすい人の特徴

つわりのメカニズムは解明されていませんが、早い時期につわり症状が見られる人や重いつわり症状がみられる人は以下の共通点を持っていることがあります。

  • 過去に妊娠した際、重いつわり症状がみられた
  • 多胎妊娠をしている

つわりは体質や遺伝的要素も関係しているのではないかと考えられています。そのため、第一子を妊娠した際に重いつわり症状があった人は、第二子を妊娠した時にも重いつわり症状が見られる可能性があります。

また、多胎妊娠をしている人は重いつわり症状のある割合が比較的多い傾向にあります。

つわりの症状の対処法

つわりの症状の対処法
つわりの症状はとても辛いですが、少しでも軽減させる方法を知っておくことは助けになります。それぞれの症状に合わせた対処方法をご紹介していきたいと思います。

吐きつわりの対処法

吐く行為はとても体力を消耗するので、長期化すると心身ともに疲弊してしまいます。「赤ちゃんのために栄養を取らないと」とより焦ってしまうかもしれませんが、つわりがひどい時には食べることも無理をしないようにしましょう。

つわり中でもお腹はすくので、食べたいと思ったタイミングで食べられるものを少しでも口にするのが大切です。また、空腹は吐き気を強くさせるので、空腹の時間がないように1回の量は少なくても、頻繁に食べるようにしましょう。深夜にもお腹が空かないように胃の負担にならない程度に口にできるものを用意しておくといいでしょう。

妊娠中は、食事の時間やバランス良く食べないと…といった妊娠前の食生活が当てはまらなくなっても当然の時期です。食事をストレスとしないように、無理をせず食べられるものを食べることを優先しましょう。

ただし、嘔吐が続くと水分と塩分が体内から失われて脱水症状を起こす場合があります。スポーツドリンクなどを活用して、水分と塩分補給だけは意識するようにするとよいでしょう。

食べつわりの対処法

食べられないつわりの逆に、食べないと気持ち悪くなるので食べ過ぎてしまうというタイプのつわりもあります。
しかし、食ベ過ぎや食べ物の種類によっては胃を刺激して、よりつわりを酷くしてしまう場合があるので、このタイプの方の場合は食事の仕方にも注意をする必要があります。

食べすぎを防止するために、一度に多く食べるのではなく、少ない量を多くの回数に分けて食べるようにしましょう。
また、ごはんやパンなどの主食や、お菓子類は血糖値を急上昇させますし、早く空腹感を感じやすいためつわりを悪化させる場合もあります。
空腹感を感じないように、肉や魚、卵などのタンパク質や野菜などのビタミン、海藻などのミネラルなど、栄養素をバランスよく摂るとよいでしょう。

匂いつわりの対処法

匂いつわりには、食べ物の匂いと周囲の環境の匂いの2つの面で対処しなければいけないでしょう。

まず、食べ物の匂いが気になって気持ち悪くて食べられない、という時に効果的なのは食べ物を冷やして食べるという方法です。温かい食べ物を食べる時に湯気が立って、鼻に入ってくる匂いに耐えられず吐き気を催すという妊婦さんも多いようです。そこで冷えた状態で食べれば、少し食べやすくなるかもしれません。

周囲の環境の匂いの対処法は、なるべく匂いから遠ざかることです。家の中であれば家族に協力してもらう必要があるでしょう。家庭の中で不快に感じる匂いの例として、タバコ、生ゴミ、洗剤や化粧品の香料などが挙げられます。家の中ではタバコを吸わない、生ゴミはすぐに処理する、妊娠期間中は無香料の製品だけを使う、など家庭内で工夫することで不快な匂いを軽減することができます。

眠りつわりの対処法

眠りつわりは他の症状に比べて楽でいい、と思われる方もいるかもしれませんが、眠りつわりにも辛さがあります。眠りつわりは自律神経の乱れによって起こるので、気分の変調やだるさ、頭痛などを併発する場合もあります。

眠りつわりの一番の対処法は無理をしないことです。寝てしまうことを怠けとは考えずに、眠い時にはたくさん寝るようにしましょう。

ただ、ずっと寝ていることが可能ではない状況もあるかもしれません。その場合には交感神経を優位にする行動をすると眠気を覚ましやすくなります。例えば、散歩やストレッチなど、簡単に体を動かしたり、冷たい水で顔を洗う、人と会話をする、などです。

寝られる時にはよく寝て、起きていなければいけない時には上手に眠気を付き合いながらやっていくことがポイントでしょう。

つわりに効果が期待できるツボ

つわりは自律神経やホルモンバランスと関係があるので、ツボ押しも効果があります。つわりに効くツボを2つご紹介します。

内関(ないかん)

つわりに効くツボ(内関)

内関は手のひらを上に向けた時、手首の境目の線中央から指3本分下の位置にあります。反対側の手の親指で少し強めの力で押しましょう。
内関は消化器に効くツボで、胃の不快感や食欲不振を改善する効果があります。また、イライラやストレスなど精神面にも作用してくれるツボです。

裏内庭(うらないてい)

つわりに効くツボ(裏内庭)
裏内庭は足裏の人差し指の下辺り、膨らんでいる部分に位置しています。親指で軽く圧をかけてあげましょう。
裏内庭は胃腸系の不調に効くツボです。腹痛や嘔吐などに効果があるので、吐きつわりや食べつわりで調子が悪い方におすすめです。

つわりの時でも食べやすい食べ物

つわりが酷い時には、以下の食べ物が食べられるか試してみてください。脱水症状を防いだり、吐き気を抑えたりする効果の期待できる食べ物を紹介していきます。

水分を多く含む食べ物

つわりの時でも食べやすい食べ物:水分を多く含む食べ物
つわりで頻繁に嘔吐してしまう事でもっとも危険なのが脱水症状に陥る事です。そこで、食べられる食材のなかでも特に水分量の多い物を選んで食べ、積極的に水分をとっておくのがよいでしょう。

豆腐やところてん、おかゆなど、水分量の多い食べ物の他にも、アイスクリーム、ゼリー、スイカなどの冷たいものも吐き気を抑えやすく食べやすいのでおすすめです。

酸味のある食べ物

つわりの時でも食べやすい食べ物:酸味のある食べ物
酸味のある食べ物は口の中がさっぱりしてつわりを軽減できる事があります。

トマト、ミカン、グレープフルーツなど、酸味のあるフルーツや野菜もつわりの際におすすめです。

消化しやすい食べ物

食べても吐いてしまう場合、少しでも早く消化吸収されるものを選ぶのもよいでしょう。吐いてしまう前に消化吸収が進めば、体重減少などを抑えることができます。

おかゆ、うどん、豆腐、白身魚など、食物繊維が少なく胃腸に負担をかけずに消化できるものを選んでみてください。

つわりに処方してもらえる薬はある?

つわりがママや赤ちゃんの生命を脅かすケースは極稀です。そのため「我慢するしかない」と思っている方も非常に多くいます。

しかし、酷いつわり症状でママが日常生活を送れない場合、医療機関では妊娠中でも安心して服用できる吐き気止めの薬を処方することがあります。
その他、ママの状態によってはつわりに効果が期待できると言われるビタミンB群を配合した点滴を行うこともあります。

つわりの症状が辛く、日常生活に支障をきたしてしまう場合は、まず医師に相談してみるのがよいでしょう。

つわりを悪化させないためにできること

つわりを緩和させるためにできること
つわりには個人差があり、体質も関係しているため原因を一概に述べることはできませんが、つわりを更に悪化させてしまう要因があります。
そこで、つわりを悪化させないためにできることを知っておきましょう。

生活習慣

つわりを悪化させる大きな要因の一つは運動と栄養不足です。
ビタミンやミネラルが不足するとホルモンバランスはより乱れやすくなります。そこで吐きつわりがそれほどひどくない方であれば、なるべくバランスの良い食事を摂ることはつわり改善の助けになります。

また適度な運動も、自律神経を整えるのに役立ちます。妊娠中激しい運動は禁物ですが、軽く散歩したりストレッチをしたり、深呼吸をするだけでも副交感神経が活性化します。

精神的要因

つわりを悪化させる要因に精神的な要素もあります。
自律神経はストレスによっても乱れてしまうことがあります。赤ちゃんを授かることはとても嬉しいことですが、初めての経験や戸惑い、これからの不安というストレスもあります。

精神的要因によってつわりを悪化させないためにも、ストレスの少ない環境作りは大切です。パートナーや家族に協力を求めたり、仕事をされている方なら負担のない仕事内容に調整できるよう相談するなど、辛いつわりの時期を乗り越えやすくする環境作りも意識しましょう。

まとめ

この記事では、つわりが起こる原因や対処法についてご紹介しました。
つわりそのものを失くすことはできませんが、少しでも軽減する工夫をしながら大変な時期を乗り切れるといいですよね。辛い時期を乗り越えれば赤ちゃんと対面するという大きな楽しみが待っていますから、前向きに乗り越えていきましょう!

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この記事の監修
エナみらいグループ総院長 宿田 孝弘
宿田 孝弘
エナみらいグループ総院長
札幌・石狩の産婦人科「エナレディースクリニック」の宿田です。母と子に優しいお産、女性が求める医療がエナにはあります。札幌・石狩市での出産や婦人科疾患のお悩みなど、お気軽にご相談ください。