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妊娠の「安定期」はいつから?安定期の過ごし方と注意点
妊娠の安定期はいつから

新しい命の芽生えに喜ぶのも束の間、ママの体はつわりや体調不良など様々な変化が訪れます。妊娠初期は特に安定期が待ち遠しいですよね。
この記事では、妊娠の安定期について解説。安定期の意味や時期、過ごし方、安定期に起こるマイナートラブルや知っておきたい病気、安定期の注意点についても紹介していきます。

妊娠の安定期とは

妊娠の安定期の定義とは
まずは妊娠の安定期の意味や時期、安定期を迎える頃のママや赤ちゃんの状態について解説します。

安定期の意味と時期

妊娠の安定期は妊娠5ヵ月(妊娠16週)を迎えた頃を指しますが、実は医学用語ではありません。
妊娠5ヵ月頃になると初期流産のリスクが減り、つわりが治まり始める人も多い事から安定期と呼ばれているようです。
また、妊娠5ヵ月を迎えた最初の戌の日に安産祈願の戌の日詣りをする風習からこの時期を安定期と呼ぶようになったという説もあります。

安定期はいつまで?

安定期は医学用語ではないため「いつからいつまで」という定義はありませんが、中には臨月を迎えるまでの間が安定期だと言う人もいます。
妊娠中は16週未満の妊娠初期、16~28週未満の妊娠中期、28周以降の妊娠後期と呼ばれますが、妊娠中期=安定期という訳ではありません。

安定期のママの状態

安定期を迎える頃になると、胎盤が完成してホルモンバランスも安定しはじめ、基礎体温が下がり始めます。つわりだけでなく、熱っぽさや体のだるさがおさまる人も多いです。

子宮は大人の頭程の大きさになり、お腹が目立ちはじめる人もいます。お腹が大きくなるのに伴い皮膚が引き伸ばされてできる妊娠線は、肌の乾燥も原因の1つ。十分に保湿をしておきましょう。

乳腺が発達しはじめバストが大きくなる人もいるので、バストサイズにあったマタニティブラジャーを使用するのがおすすめ。母乳のようなものが分泌される事もあるので、清潔な布で拭き取り常に清潔を心掛けて下さい。

安定期の赤ちゃんの状態

安定期を迎える妊娠5ヵ月頃の赤ちゃんは、前頭葉や神経が発達し自分の意志で手足を動かせるようになります。
そのため、やせ型のママや安静にしているママは胎動を感じることがあるかもしれません。
平均身長は約25cm、平均体重は約280g。眉毛やまつ毛、髪の毛が生えてくる赤ちゃんもいてグッと人間味が増しますね。

妊娠の安定期の過ごし方

安定期の過ごし方
安定期を迎えたママにおすすめの過ごし方を紹介します。体調と相談しながら、自分のペースで安定期を過ごしましょう。

適度な運動をする

特に医師から禁止されていない場合は、適度な運動を取り入れながら安定期を過ごしましょう。
妊婦の運動については以下のような指針もあります。

●運動強度

  1. 心拍数で150bpm以下、自覚的運動強度としては「ややきつい」以下が望ましい。
  2. 連続運動を行う場合には、自覚的運動強度としては「やや楽である」以下とする。

●実施時間

  1. 午前10時から午後2時の間が望ましい。
  2. 週2~3 回で、1 回の運動時間は 60 分以内とする。

参考)日本臨床スポーツ医学会 産婦人科部会「妊婦スポーツの安全管理基準(2019)

妊娠中は、仰向けになるような運動をすると大きくなったお腹に下半身の血管が圧迫され低血圧や仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群を発症する恐れがあります。仰向けの他、転倒の恐れがある運動や跳ねる、腰を捻る、走るような運動も避けましょう。

ヨガ、エアロビクス、スイミングなどはマタニティ向け教室がありますし、日常的な散歩、ストレッチでも十分良い有酸素運動になります。
当院でも定期的にマタニティヨガ、マタニティビクス、マタニティフラなど、安心して出産・育児に臨めるように心と体を整える、様々な楽しいレッスンを実施しておりますのでチェックしてみてくださいね。

産前教室の詳細

栄養バランスの良い食事をとる

冷ややっこ
安定期に入りつわりがおさまってきた事で、ようやく食事を美味しく感じる事ができるというママも多い事でしょう。
厚生労働省は、妊娠初期と比べると安定期を迎える妊娠中期には栄養摂取量を増やした方が良いという指針を出しています。
主菜、副菜、果物を増やす事が促されているため、妊娠前よりも栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。
妊娠前の食事に以下のメニューを追加するのもおすすめです。

  • 主菜:冷ややっこ、納豆、目玉焼き
  • 副菜:野菜サラダ、きゅうりとわかめの酢の物、具沢山お味噌汁、ほうれん草のおひたし、ひじきの煮物、煮豆、きのこソテー
  • 果物:みかん1個、りんご半分、かき1個、梨半分、ぶどう半分、桃1個

参考)厚生労働省 妊産婦のための食生活指針

両親学級に参加する

安定期を迎える頃になると、自治体や産院から両親学級の案内が届く事もあります。出産を迎えるまでの過ごし方や、赤ちゃんのお世話の仕方を学ぶ他、パパにママの心身の変化を理解してもらうセミナーを行う自治体や産院もあります。

立ち合い出産を検討している場合には、両親学級の参加が義務付けられている産院も多いので事前に確認しておくと良いでしょう。

義務ではありませんが、当院でも妊娠中の過ごし方や赤ちゃんの成長・発達のお話など、アットホームな雰囲気のマタニティクラスなどを実施しております。

マタニティクラスの詳細

虫歯の治療をする

妊娠中は、ホルモンの変化によって口内細菌が増えやすい傾向にあります。妊娠前から治療中の虫歯がある場合や、口内に違和感を感じる場合には安定期に治療しておくと良いでしょう。
特に、歯周病は早産や低体重児出産に関係すると言われているので口内に違和感がなくても一度歯科検診を受けておくと安心ですね。

旅行や結婚式・マタニティフォトなどのイベントをする

旅行
出産前に旅行に行きたい人や、授かり婚で妊娠中に結婚式をしたい人、妊娠の記念としてマタニティフォトを撮影したい人は安定期を迎える頃にイベントを行うことが多いです。

ただし、安定期といっても100%安全である訳ではありません。何をするにも体調と相談しながら無理のない範囲で行いましょう。

ちなみに旅行に行く際には母子手帳を忘れずに。飛行機で移動する場合、妊娠数週によって診断書の提出を求める航空会社もあるので事前に調べておきましょう。

職場や知人への報告する

仕事をしているママの場合、管理職の上司などには妊娠初期から懐妊を伝えているものの、妊娠初期の流産リスクを考えて他の同僚にはまだ伝えていないということも珍しくありません。
先天性異常による流産リスクが大幅に低下する安定期を迎える頃に、職場の同僚や知人に妊娠を報告する人が多いです。

特に仕事をしているママは、職場に報告すると同時に産休の確認をしましょう。産休取得経験のある人に実情を聞いておくのも良いかもしれませんね。

出産の準備をする

お腹が大きくなって動くのが辛くなる前に、出産の準備をしておくと良いでしょう。

特に、どこで出産するのかを考える事も大切です。
無痛分娩を希望する場合や、陣痛室と分娩室、回復室が同じ場所になっているLDR完備の産院での出産を希望する場合は、相応の施設を持つ産院を探す必要がありますね。また多胎児を妊娠している場合やママが基礎疾患のある場合は大学病院や新生児集中治療室のある病院への転院を促される事も。

加入している保険の契約内容なども見直しておくと、今後の妊娠期間中に急遽入院となった場合や帝王切開での出産になった場合、スムーズに保障の申請を行うことができますよ。

妊娠の安定期に起こりやすいマイナートラブル5つ

妊娠の安定期に起こりやすいマイナートラブル
安定期とは言え、妊娠には様々なトラブルがつきもの。特に安定期に起こりやすいマイナートラブルについて解説します。

【その1】貧血を起こしやすくなる

妊娠中は血液量が増えるものの、赤血球の数はあまり増えないため貧血を起こしやすくなります。動悸やめまい、頭痛の症状が出る場合もあるので、貧血に効果的な鉄分をとって貧血対策を行いましょう。

妊娠中の貧血対策におすすめの食材は、あさりや大豆、緑黄色野菜や切り干し大根、ひじきや赤味の多いお肉など。
鉄分はビタミンCと同時摂取することで吸収率がアップするため、じゃがいも、ピーマン、オレンジなどと一緒に食べるのもおすすめです。

ただし、一般的に鉄分を多く含み貧血に良いとされるレバーやうなぎはビタミンAの含有量が多いので注意が必要。妊娠初期にビタミンAを過剰摂取すると先天性異常を起こす可能性があると言われています。妊娠中はビタミンAの一日の上限摂取量0.0015gを超えないように注意しましょう。

【その2】便秘や頻尿になりやすくなる

お腹が大きくなりはじめる安定期は、腸が子宮に圧迫されて動きにくくなり便秘になる人も多いです。
適度な運動やこまめな水分補給、食事に食物繊維や乳酸菌を取り入れて便秘対策をすると良いでしょう。
どうしても便秘が解消されない場合には、医師に相談して下さい。状態によっては緩下剤を処方してもらえる場合もあります。

また、妊娠中は膀胱が子宮に圧迫されて頻尿や膀胱炎になりやすいのもマイナートラブルとして有名。尿意を感じたらこまめにトイレにいき、排尿する時に痛みを感じたり残尿感が残る場合は膀胱炎の可能性があるので医師に相談しましょう。

【その3】腰が痛くなる

安定期は大きくなりはじめたお腹を支えるために腰を反りがち。
また、体が出産に備えて腰回りの筋肉を硬くするホルモンを分泌する事から、腰痛を感じる人も多いです。
腰痛対策には、背筋を伸ばした正しい姿勢を心掛けると良いでしょう。
腰が沈まない固めの寝具や、背筋を伸ばして立ちやすい安定した靴を履くのもおすすめです。

【その4】動悸・息切れしやすくなる

安定期には赤ちゃんの成長に伴い、大量の血液を送り出す事になります。
そのため、心拍数が上がり動悸や息切れを感じる場合があります。
動悸・息切れを感じる場合は安静にして治まるのを待ち、普段からゆっくりした動作を心掛け、こまめに休憩をとるようにしましょう。

【その5】皮膚トラブルがおきやすくなる

安定期を迎える頃に、蕁麻疹のような症状が出るママもいます。これは妊娠性痒疹と言い、妊婦全体の約2%が発症するとも言われています。
手足や体に蕁麻疹が出て強い痒みを伴うので、母子手帳を持って皮膚科を受診すると良いでしょう。
出産後には自然と治まる人が多く、自身や家族にアトピーの方がいるママは発祥しやすい傾向にあります。

また、アトピー性皮膚炎のママは妊娠中一時的に症状が悪化する場合があるため、医師に相談し適切な処置を受けるようにしましょう。

妊娠の安定期に気をつけたい症状・病気

安定期は安全な妊娠期間という訳ではありません。少なからず安定期に流産や早産になる例もあります。
安定期の流産や早産に関係する気を付けたい症状・病気について解説します。

切迫早産

妊娠中の流産や早産の症状を、妊娠22週までは切迫流産、妊娠22~36週までは切迫早産と言います。
原因は絨毛膜羊膜炎、頸管無力症、多胎妊娠等様々なものがありますが、基本的には安静にして出産後の生存率が上がる妊娠22週以降を目標とし出来る限り長く赤ちゃんを胎内に留めるよう処置します。
安静にして症状が改善された場合には、安静解除される事もあるようです。

程度によっては自宅安静で過ごす事もありますが、酷い場合は入院安静でベッドに寝たきりになる事もある油断できない病気と言えます。

子宮頸管無力症

特に傷みや自覚症状のないまま、子宮口が開いてしまい流産や早産を引き起こす子宮頸管無力症。
妊娠16~24週頃に起こりやすい病気ですが、妊婦検診の際のエコーで子宮頸管の長さを測り症状を発見できる事もあるので、定期健診は必ずスケジュール通りに受けましょう。

子宮頸管無力症は、殆どの場合絶対安静で出産まで過ごします。症状によって子宮口を縛る処置をする事もあるようです。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群は妊娠20週以降出産12週までの時期に起こる高血圧症を指します。
妊婦全体の3~7%に起こる病気とも言われ、蛋白尿や浮腫みを伴うことも。
妊娠高血圧症候群になると、胎盤が正常に機能しなくなり低出生体重児や胎児発育不全、子宮内胎児脂肪などの原因になるとも言われています。

35歳以上、初産、多胎妊娠、BMI25以上、高血圧や糖尿などの持病を持つママは妊娠高血圧症候群になるリスクが高いため、食事による栄養管理で予防を心掛けましょう。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて糖代謝異常になった人を指します。
妊娠糖尿病を原因に妊娠高血圧症候群になる事があり、赤ちゃんにとっても巨大児、羊水過多、心臓の肥大、胎児脂肪などの様々な病気を引き起こす事があります。

妊娠糖尿病は妊娠初期に代謝異常の予兆が見られた場合、ブドウ糖負荷テストを行って診断し、妊婦全体の7~9%がかかる病気です。妊娠糖尿病になった場合、基本的には食事療法で症状の改善を目指します。

前置胎盤

前置胎盤は胎盤が子宮の低い部分に形成され、子宮口を塞いでしまっている状態。
妊娠初期はあまり珍しいものではなく胎児の成長と共に正常な位置に戻る事も多いですが、前置胎盤のまま胎児が成長した場合には注意が必要です。
前置胎盤は急に大量出血を引き起こすこともあり、早産や死産リスクも高まります。

前置胎盤の診断を受けた場合には医師の指示に従って慎重に安定期を過ごしましょう。

妊娠の安定期を過ごす注意点

妊娠の安定期を過ごす注意点
安定期を過ごす上で、その他にもいくつか注意しておく事があります。注意点を気にかけて、健康に安定期を過ごしましょう。

体重増加に気を付ける

妊娠中体重が増え過ぎてしまうと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など様々なリスクが発生してしまいます。
とはいえ、ある程度の体重増加は必要なので妊娠前の体重から推奨体重増加量を把握しておくと良いでしょう。

●BMIの計算方法
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)【例】体重55kg 身長160cmの場合
55÷1.6÷1.6=21.484375 BMI値21.5妊娠中の体重増加に気を付ける

参考:厚生労働省「妊娠期の至適体重増加チャート」について

ストレスを溜めない

ママがストレスを感じると、筋肉が硬直してお腹が張ったり、血流が悪くなって赤ちゃんへの栄養補給が妨げられてしまう可能性があります。
妊娠期間中はなるべくストレスを溜めない生活を心掛けましょう。

十分な休息をとる

安定期を迎える頃から多くのママがお腹の張りを自覚するようになります。お腹の張りは疲労や緊張、ストレスの他下半身の冷えから起こることも。張りを感じたら安静にして、張りが強くなったり痛みや出血を伴う場合はすぐに医師の診察を受けましょう。

お腹の張りは妊娠中多くのママが感じるものですが、日頃から疲れを感じる前に体を休めるなど十分な休息をとりながら過ごすと良いですね。

性生活は体調に配慮して行う

妊娠中の性生活は体調に問題がなく医師から止められない限り行っても構いません。ただし、精液には子宮収縮を促す成分が含まれるため必ずコンドームを使用しましょう。

特にお腹に乗りかかる体位や負担のかかる体位は避け、痛みやお腹の張りを感じたら直ぐに中止して下さい。

まとめ

妊娠5ヵ月頃に迎える安定期。体調は良くなってくるものの、安全な期間ではないため無理をしないように気を付けましょう。
長い妊娠期間中、つわりがおさまったらやりたいと思っている事もたくさんあるかもしれませんが、まずは元気な赤ちゃんを産む事が第一です。適度な運動やバランスの良い食事とたっぷりの休息をとって、穏やかに安定期を過ごして下さいね。

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この記事の監修
エナみらいグループ統括医師 宿田 孝弘
宿田 孝弘
エナみらいグループ統括医師
札幌・石狩の産婦人科「エナレディースクリニック」の宿田です。母と子に優しいお産、女性が求める医療がエナにはあります。札幌・石狩市での出産や婦人科疾患のお悩みなど、お気軽にご相談ください。