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産休(産前産後休業)はいつから取得できる?出産手当金や育休との違いも紹介!

医療法人みらいグループ
産前産後休業はいつから取得できるのか

妊娠が分かり新しい家族の誕生を心待ちにする一方で、
「産休はいつから、育休はいつまでとれるの?」
「パートでも産休や育休はとれるの?」
「パパも育休をとれるの?」
などなど、働くママ・パパの疑問や不安は尽きません。

この記事では、そんなパパやママに向けて産休や育休について徹底解説。産休や育休が取得できる期間や手当金の計算方法についても紹介しています。
働くママやパパは是非参考にしてみて下さい。

産休とは

産休とは
産休とは労働基準法第65条で定められた、労働をしているママが健やかな出産、育児を行うための産前産後休業制度です。

産休には「産前休業」と「産後休業」があり、それぞれに違う目的で定められています。

  • 産前休業…出産の準備をするために設けられた休業期間。任意で取得可能。
  • 産後休業…出産後の体の回復を目的とした休業期間。取得義務がある。

出産はママの体にとって大きな負担となるため、産後休業は必ず取得しなければいけない休業制度です。
産後休業中に仕事復帰をする場合、最短でも6週間の休業後医師による就業許可が必要になります。

産休をとる条件

産休は就業期間や雇用形態に関係なく、全てのママが取得可能です。
正社員、パート社員、派遣社員、契約社員、アルバイトなど、どんな働き方でも取得できる権利があります。

産休の取得方法

産休を取得するためには、申請が必要です。とは言え、産後休業は取得義務があるため主に申請が必要なのは産前休業。基本的に産前休業と産後休業の申請は同時に行います。

産休を取得する場合、出産予定日から6週間前までに会社へ申請します。会社によっても異なりますが妊娠8ヵ月に入った頃に申請をしておくママが多いようです。

産休はいつからいつまでとれる?

産前産後の休業期間を現した図
産前休暇は出産予定日6週間前から取得することができます。
出産予定日は妊娠40週0日なので、最短で妊娠34週からお休みに入るということ。
ただし、早産リスクの高い多胎児を妊娠しているママの場合は出産予定日14週前の、妊娠26週から取得できます。多胎児はママの体への負担も特に大きいので、無理せず早めの休業を検討してみましょう。

妊娠経過が順調でもう少し仕事を続けたいというママは、妊娠34週以降好きなタイミングで産前休業を取ることも可能。あくまで、任意なので体調と相談しながら休業に入る日を決めると良いでしょう。

産後休業は、出産翌日から8週間取得できます。こちらは産前休業とは違い、必ず取得しなければいけない休業です。
どうしても早く復帰したいという場合でも、産後42日までは原則ママは就業してはいけないと定められています。

産休の手当金の計算方法

産休中は原則、勤務先や雇用保険からの給与保障がありません。しかし、その間の金銭的補助として勤務先の健康保険から出産手当金を貰えるケースがあります。
手当金は標準報酬日額の3分の2に当たる金額です。

●標準報酬日額の計算方法
支給日開始日以前の継続した12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額【例】月給20万円(固定・交通費を除く)
産前6週前から産後8週まで(96日間)産休を取得したママの場合
・標準報酬月額20万円÷30日=6,667円
・標準報酬日額6,667円×2/3=4,445円
◎4,445円×96日=出産手当金額43万5,610円

出産手当金の受給は、以下の2つが条件とされています。

  • 勤務先の健康保険に1年以上継続して加入していること
  • 産休中に給与支払いがないこと

つまりパートや就職・転職し始めたばかりの人であっても産休を取得できますが、会社の健康保険に入らずパパの会社の健康保険に加入しているパートや1年以上勤続していない人は出産手当金が受け取れないということ。
国が運営する国民健康保険に加入してアルバイトをしている人も出産手当金を受給できないので注意しましょう。

育休とは

育休とは
育休とは生まれた子供を育てることを目的とした休業制度。正式には育児休業制度と言います。
産休は出産ができるママにのみ認められますが、育休はパパも取得可能です。

育休をとる条件

育休も産休と同じく正社員、パート社員、派遣社員、契約社員、アルバイトなど雇用形態に関係なく取得可能。ただし、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 子どもが1歳6ヶ月までの間に、雇用契約満了や雇用契約が更新されないことが明らかでないこと

つまり誰でも必ず取得できる産休と違い、今後も同じ会社に勤め続ける意志のある人しか取得できないということ。
令和4年4月1日から、育休取得要件が緩和されることが決定しています。これまでは勤続1年以上の従業員でない場合育休をとれませんでしたが、これらの要件が撤廃されています。

会社に育休を相談したものの、改正前の条件を提示されて育休が取得できないと言われた、という声も少なくありません。自分自身でも改めて条件を確認し、会社に現法を提示して相談するのがよいでしょう。
参考:厚生労働省|育児・介護休業法 改正ポイントのご案内

育休の取得方法

育休は休業を開始したい日の1ヶ月前に申請することで取得可能。パパの場合、出産後すぐじゃなくても育休期間中であれば申請が可能です。

育休はいつからいつまでとれる?

ママ、パパの育休期間を表した図
育休は原則として子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで取得できます。ママの場合は産後8週間の産後休業が終わってから、育休に切り替わるため約10ヵ月。パパの場合は申請した期間が育休の期間となります。

従来の育休制度では、一度育休を終えると再度の取得は不可とされていました。しかし、育児休業制度の改正により令和4年10月1日から、ママ、パパそれぞれが育休を分割して2回まで取得可能になります。

分割取得は事前の申出が必要なので、夫婦間で育休の取得時期をよく相談する必要があるでしょう。

また、令和4年10月1日より、パパの積極的な育児への参加を促進する狙いを持って出生時育児休業(産後パパ育休)が制定されました。出生時育児休業(産後パパ育休)については後程詳しく紹介します。
参考:厚生労働省|育児・介護休業法 改正ポイントのご案内

育休は延長できる

育休は保育園に入所できない場合や、配偶者の死亡・病気・怪我などの理由がある場合、1歳6ヵ月まで延長することができます。
この際、子どもが1歳になる前日までに延長申請を行う必要があるので注意しましょう。

延長をしても保育所が見つからない等、仕事復帰するのが難しい場合、再延長を申請することで最長2年まで育休を延ばすことも可能です。

尚、育休の延長期間においても法改正によって条件が大きく緩和されています。従来は、1歳以降に育休を延長する場合、育休開始日が1歳(または1歳半)に限定されていましたが、法改正によって育休の延長をママやパパが希望する日から始められるようになります。

また、特別な事情がある場合は、1歳半以降もママやパパの希望日から育休を再取得できるようになるため、保育園に入園できない場合などもママやパパが交互に育休を取得するなど、さまざまな方法で対処できるようになります。

育休で貰える給付金

育児休業中は雇用保険から育児休業給付金が支給されますが、受給するには以下の条件を満たす必要があります。

  • 1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること(2貝まで分割取得可)
  • 休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12ヶ月以上あること
  • 一支給単位期間中の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること

育児休業給付金は、取得開始月から180日まで月給の67%、181日目以降は月給の50%が支給されます。
さらに、育休を延長した場合も延長期間中月給の50%を受け取ることが可能です。

【例】月給20万円(固定・交通費を除く)のママ
子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで育児休業を取得した場合
月給20万円×0.67(67%)=13万4,000円
月給20万円×0.5(50%)=10万円●育休期間(産後休業(8週間)を除いた期間)
・6ヵ月間(赤ちゃんの生後3ヵ月から生後8ヵ月まで)×13万4,000円(給与の67%)=80万4,000円
・3ヵ月間(赤ちゃんが生後9ヵ月から誕生日を迎える前日まで)×10万円(給与の50%)=30万円
◎育児休業給付金の総額=80万4,000円+30万円=110万4,000円
【例】月給30万円(固定・交通費を除く)のパパ
子どもが生まれた日から1歳の誕生日を迎える前日まで育児休業を取得した場合
月給30万円×0.67(67%)=20万1,000円
月給30万円×0.5(50%)=15万円●育休期間
・6カ月間(赤ちゃん誕生から生後6ヵ月まで)×20万1,000円(給与の67%)=120万6,000円
・5ヵ月(赤ちゃんが生後7か月から誕生日を迎える前日まで)×15万円(給与の50%)=75万円
◎育児休業給付金の総額=120万6,000円+75万円=195万6,000円

厳密に計算すると、1歳を迎える前に復帰した場合は日割り計算で換算されるので大まかなイメージとして捉えておきましょう。
さらに、育児休業給付金には給付限度額があることもお忘れなく。

  • 支給率67%の場合の支給限度額…31万143円/月(令和6年7月31日まで)
  • 支給率50%の場合の支給限度額…23万1450円/月(令和6年7月31日まで)

育児休業給付金の支給限度額は毎年8月に変更されるので、最新の情報を確認しておくと良いでしょう。
参考:厚生労働省|育児休業給付に内容と支給申請手続

出生時育児休業(産後パパ育休)とは

令和4年10月1日より、ママの産休期間に合わせてパパが育休を取得できる出生時育児休業(通称:産後パパ育休)の制度がスタートしました。
出生時育児休業では、子どもの出生日から8週間以内に育児休業とは別に4週間まで休業期間を設けることができます。
休業期間は4週間分であれば8週間以内に最大2回まで分割して取得することもできます。
特に、上の子がいる過程などの場合、ママは産後1ヶ月は安静にしておくことが求められます。産後4週間の間、パパが出生時育児休業を取得して家事や上の子のお世話をしてくれれば、ママも安心して療養することができるでしょう。

育児休業は原則として、休業中の就業は不可とされていますが、出生時育児休業の場合は労使協定を締結している場合に限って、労働者が合意した範囲で休業中に就業することができます。リモートワークなどを上手く活用して、仕事に影響のない範囲で休業できるため、パパも休業を取得しやすくなっています。
取得時期は自由に選べる上、分割しての取得も可能なので、夫婦間や両家の親族などと予定を調整してママと赤ちゃんのフォロー体制を整えるのがおすすめです。

出生時育児休業は原則として、2週間前までの申請が必要なので、忘れずに取得申請を行っておきましょう。
参照:厚生労働省|育児休業給付に内容と支給申請手続

育休と産休の違い

これまで産休と育休について詳しく述べてきましたが、違いについてわかりやすく一覧にまとめました。

産前休業 産後休業 育児休業 出生児育児休業
対象
ママのみ
ママのみ
パパ・ママ
パパのみ
取得義務
任意
取得義務有り
任意
任意
取得義務・条件
なし
なし
  • 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること
  • 一支給単位期間中の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること
  • (期間を定めた雇用の場合)子どもが1歳6ヶ月までの間に、雇用契約満了や雇用契約が更新されないことが明らかでないこと
  • 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること
  • 休業期間中の就業日数が最大10日以下であること
  • 子どもが生後6ヶ月を経過するまでの間、雇用契約満了や雇用契約が更新されないことが明らかでない
取得できる期間
出産予定日の6週間前から(多胎児の場合は14週間前から)
出産日翌日から8週間
子どもが1歳を迎える前日まで(最長2歳を迎える前日まで延長可能)(分割して取得可能)
出産日翌日から8週間までの間に通算4週間(2回まで分割して取得可能)
申請方法
出産予定日の6週間前までに申請
出産予定日の6週間前までに申請
育休開始日の1ヶ月前までに申請
出生時育児休業開始日の2週間前までに申請
取得できる給付金
出産手当金(会社の健康保険より)
出産手当金(会社の健康保険より)
育児休業給付金(雇用保険より)
育児休業給付金(雇用保険より)
給付金の給付条件
  • 勤務先の健康保険に1年以上継続して加入していること
  • 産休中に給与支払いがないこと
  • 勤務先の健康保険に1年以上継続して加入していること
  • 産休中に給与支払いがないこと
  • 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること
  • 一支給単位期間中の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること
  • (期間を定めた雇用の場合)子どもが1歳6ヶ月までの間に、雇用契約満了や雇用契約が更新されないことが明らかでないこと
  • 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること
  • 休業期間中の就業日数が最大10日以下であること
  • 子どもが生後6ヶ月を経過するまでの間、雇用契約満了や雇用契約が更新されないことが明らかでない

公務員の産休・育休は一般職とは違う

産休と育休の対象者や取得方法、違いを解説してきました。しかし、ここで1つ注意すべきなのが公務員の産休・育休についてです。
公務員の場合、一般職と産休・育休の取得期間が異なります。ママやパパが公務員の場合は知っておくべきでしょう。

公務員の産休

公務員のママは、出産予定日より8週間前から産前休業を取得することができます。
一般職よりも2週間長く取得可能。多胎児を妊娠している場合は、一般職と同様に産前14週間前から取得可能になります。

また、産後休業についても一般職と同じく産後8週間と決まっています。

公務員の育休

公務員のママ・パパは、最長で子どもが3歳になる誕生日の前日まで育休を取得できるのも一般職との大きな違いです。
育休中は雇用保険より育児休業給付金が支給されます。公務員の場合、子が1歳に達する日までの育児休業期間、標準報酬の日額50%(180日までは67%)が支給される点では一般職と同じです。

しかし、一般職の場合育休延長中も育児休業給付金が支給されますが、公務員は子どもが1歳になる前日分までしか育児休業給付金が支給されません。
1歳から3歳になる誕生日の前日までの期間は、育休として休業できるものの給付金が支給されないという点をよく理解しておきましょう。

また、公務員の場合は出生時育児休業(産後パパ育休)の要件も一般職と異なるので注意する必要があります。公務員の場合、子どもの出生日から57日間以内取得する育児休業が出生時育児休業に当たります。一般職と異なり、4週間の取得期間制限はないものの、子どもの生後57日以降は一般の育休にカウントされるようになるので注意しましょう。

一般職と違い、公務員の場合は出生時育児休業中の就業は認められていません。
参考:人事院|育児休業 常勤職員向けQ&A

産休にまつわる疑問

最後に産休にまつわる疑問の中でも特に多い「予定日通りに赤ちゃんが生まれなかった場合の産休の扱い」と「産休中のボーナス」について解説します。

出産が予定日からずれた場合産休の扱いは?

赤ちゃんは必ず出産予定日に産まれてくるものではありません。そのため産休の申請時には出産予定日を基準として書類を提出しますが、出産後に書類を修正することが珍しくありません。

出産が予定日よりも遅くなった場合、超過期間中も産前休業期間として処理されます。
逆に、予定日よりも早く出産した場合は産前休業が短縮され、出産翌日から産後休業が開始。

どちらにしても会社に申請した書類を修正してもらう必要があるので、出産をしたら速やかに会社へ報告しましょう。

産休中でもボーナスはもらえるの?

会社員、特に正社員のママ・パパは産休や育休中のボーナスについても気になるところです。
原則としてボーナスの算定期間後に産休や育休に入る場合には、満額で支給されるのでご心配なく。
ただし、算定期間途中で産休や育休に入った場合や会社の定める支給日在籍要件を満たしていない場合には減額または支給されないケースもあるでしょう。事前に会社に確認しておくのがおすすめです。

ちなみにボーナスは臨時の収入なので、出産手当金や育児休業給付金の受給には影響がありません。
ボーナスを満額受け取っても、出産手当金や育児給付金を満額受給できるということです。

まとめ

出産とは切っても切り離せない産休・育休制度について解説してきました。制度の違いや対象、また公務員の産休育休制度などとの違いもありましたね。
産前休業は赤ちゃんを迎える準備のために、産後休業はママの体を回復するために、そして育休はこれから赤ちゃんを加えた新しい家族で新生活をスタートさせるための休業制度です。
妊娠中に産休・育休の取得について事前に夫婦でよく相談しておくと良いでしょう。

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この記事の監修
エナみらいグループ総院長 宿田 孝弘
宿田 孝弘
エナみらいグループ総院長
札幌・石狩の産婦人科「エナレディースクリニック」の宿田です。母と子に優しいお産、女性が求める医療がエナにはあります。札幌・石狩市での出産や婦人科疾患のお悩みなど、お気軽にご相談ください。