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妊娠中の食べ物はどうしたらいい?食べたほうがいいもの・控えたほうが良いものを紹介!

医療法人みらいグループ
妊娠中に食べたら良いもの・控えたほうがいいもの

妊娠中はママが食べたものが赤ちゃんの栄養になります。ママと赤ちゃんのために積極的に摂りたい食べ物もあれば、妊娠中は控えたほうがいい食べ物も。

この記事では妊娠中に食べたほうがいいものや控えたほうがいいもの、食べる際には量に気を付けたいものなどを紹介。その理由や食べ物の具体例も解説しています。

妊娠したママや今後妊娠を希望しているママは是非参考にしてみて下さい。

ママの食事が赤ちゃんの成長に影響するのはいつから?

妊娠中に控えたほうがいいと言われているものを食べた翌日に妊娠が発覚したというママも少なくありません。
「昨日食べたものが赤ちゃんに悪い影響を起こしたらどうしよう」と不安になりますよね。

赤ちゃんがママから栄養をもらうのは胎盤が完成する妊娠5ヵ月(妊娠16週)位から。それまでは卵黄のうという器官から栄養を補っているので、心配しなくても大丈夫です。
一部の食べ物を除いて、胎盤が完成するまではママの食事が赤ちゃんに影響することは少ないでしょう。

妊娠初期は無理して食べなくても大丈夫

妊娠初期は酷いつわりに悩まされるママも多いでしょう。お腹の赤ちゃんのためにたくさん食べなければと無理していませんか?
赤ちゃんは、前述の通り胎盤が完成するまでママの食事から栄養を補給することはありません。

つわりが酷い時には無理のない程度に食事を摂り小まめな水分補給を心掛けましょう。
つわり中は決まった物しか食べられないというママも多いですが、決まった食べ物しか体が受け付けないのであればある程度は仕方ないでしょう。

食事を食べられそうな時には、量よりも栄養バランスの良い食生活を心掛けましょう。

つわりがある時におすすめの食べ物

つわりで強い吐き気がある場合には、食物繊維や脂肪が少ない消化しやすい食べ物がおすすめです。

にんじんじゃがいもかぼちゃほうれん草などの野菜の他、あっさりとした白身魚ささみも食べやすいでしょう。
エネルギー源となる食パンお粥うどんなども消化しやすい食べ物の代表格です。

調理する時は消化器官への負担を抑えるように細かく繊維を断つように切り、茹でる・蒸すなど油を必要としない加熱方法を積極的に取り入れましょう。

【妊娠初期に摂ろう】葉酸を含む食べ物

妊娠初期に摂ったほうがいいものに、葉酸を含む食べ物が挙げられます。

葉酸は細胞分裂に必要な栄養素です。妊娠前や妊娠初期に積極的に摂取することで、赤ちゃんの発育をサポート。神経管の先天異常を起こすリスクを抑える効果が期待できます。

妊娠前から積極的に摂取するのが望ましいですが、妊娠が発覚してからでも良いので、妊娠初期は推奨量を摂取するよう心掛けましょう。

つわりで食事を摂れない場合には、サプリなどで葉酸を摂る方法もおすすめ。しかし、サプリを利用する場合は過剰摂取にならないように十分注意しましょう。

成人女性の葉酸の推奨摂取量/日 240㎍/日
妊婦の葉酸の推奨摂取量/日 480㎍/日

妊娠中に食べたほうがいいもの

妊娠中はママや赤ちゃんにとって必要な栄養がたくさんあります。その中でも特に積極的に食べたほうがいいものを紹介していきます。

貧血を予防する食べ物

妊娠中に起こるマイナートラブルの1つ、貧血。ママは妊娠中だけでなく産後も授乳によって貧血を起こしやすいので、妊娠中から貧血を改善する鉄分を多く含む食べ物を積極的に摂り入れましょう。

鉄分は単品だと吸収率が悪いので、ビタミンCと一緒に摂取するのがおすすめ。特に吸収されにくい非ヘム鉄の食品はビタミンCを多く含む食品と一緒に調理して食べると吸収率がアップします。

鉄分だけでなく葉酸やビタミンB12にも貧血を改善する効果が期待できます。これらの栄養素は妊娠期間全体や産後も積極的に摂り入れた方が良いでしょう。

鉄分の推奨摂取量/日
  • 妊娠初期:9.0mg/日
  • 妊娠中期~後期:16mg/日

骨を強くする食べ物

赤ちゃんの骨などを作るために必要なカルシウム。ママの食事で足りない場合、赤ちゃんはママの骨からカルシウムを摂取して体の発育に利用します。その結果、ママの体はカルシウム不足になり骨が脆くなる骨粗しょう症リスクが上昇してしまいます。

カルシウム不足は気持ちをイライラさせたり、こむら返りを引き起こしたりするマイナートラブルの原因でもあります。元々日本人は慢性的なカルシウム不足の人が多いので、妊娠が分かったら特に意識してカルシウムを取り入れましょう。

カルシウムの推奨摂取量/日 650mg/日(摂取上限量 2,500mg/日)

便秘を改善する食べ物

妊娠中はホルモンの影響や大きくなった子宮に腸が圧迫されて便秘になるママも少なくありません。食物繊維や乳酸菌など、便秘を予防・改善する食べ物も摂り入れましょう。

食物繊維は便の量を増やして排便を促し、乳酸菌は腸内環境の改善効果が期待できます。乳酸菌はオリゴ糖と一緒に摂ると、さらに便秘改善効果が期待できるでしょう。

食物繊維の推奨摂取量/日 18g以上/日
乳酸菌の推奨摂取量/日 特になし

妊娠中に食べたほうがいい食べ物リスト

妊娠中に食べたほうがいい食べ物リスト
妊娠中に食べた方がいい食べ物は以下の通りになります。

栄養素 特徴 具体例
葉酸
赤ちゃんの神経管先天異常発生リスクを軽減する
ブロッコリー、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草、とうもろこし、納豆、焼き海苔※、レバー※など
鉄分
貧血を改善する
あさり、まぐろ※、かつお、納豆、小松菜、ほうれん草、切り干し大根、ゴマ、大豆、赤身肉、鶏卵※、ひじき※、豆乳、厚揚げ、カシューナッツなど
ビタミンC
鉄分の吸収をサポートする
パプリカ、芽キャベツ、レモン、パセリなど
ビタミンB12
貧血を改善する
レバー※、しじみ、牡蠣※、はまぐり、にしんなど
カルシウム
骨粗しょう症予防
牛乳、ヨーグルト、木綿豆腐、豆乳、ししゃも、しらす、真アジ、小松菜、水菜など
ビタミンD
カルシウムの吸収をサポートする
しいたけ、きくらげ、サケ、サバ、バターなど
食物繊維
腸内環境を整えて便秘を予防する
押し麦、ライ麦パン、おから、そらまめ、干ししいたけ、きくらげ、昆布※、茎わかめ※など
乳酸菌
腸内環境を整えて便秘を改善する
ヨーグルト、味噌、漬物、納豆など

※の食品は食べ方や食べる量に十分注意しましょう。

妊娠中は控えたほうがいいもの

普段何気なく食べているものの中には、ママや赤ちゃんに悪影響を与える可能性がある食べ物も。妊娠中は控えた方がいい食べ物を紹介していきます。

アルコール

本来赤ちゃんにとって有害なものは、胎盤のフィルターで止められて送られないようになっているもの。
しかし、アルコールは胎盤のフィルターを通過して赤ちゃんに悪影響を与えてしまう可能性が高いため、妊娠中の飲酒は禁止されています。

赤ちゃんがアルコールを摂取してしまうと、胎児性アルコール症候群や発達遅延、中枢神経障害、先天性疾患を発症する可能性が高くなります。
また、妊娠2週目までに過度なアルコール摂取があると自然流産の確率が上がるという研究結果も。

妊娠が分かった時点で禁酒し、授乳が終わるまではアルコールの摂取を控えましょう。

リステリア菌を含んでいる可能性のある食べ物

リステリア菌とは食中毒を引き起こす細菌の一種。非加熱のチーズなどの乳製品や食肉加工品などから検出されることがあります。
特に海外製のナチュラルチーズなどは非加熱でリステリア菌が増殖している場合があるので注意が必要です。

健康な成人ならリステリア菌の引き起こす食中毒を起こしても軽い胃腸炎や無症状で済むことが多いですが、妊娠中は赤ちゃんにまで悪影響を起こすケースも。
妊婦は健康な成人と比べるとリステリア症になりやすいので、妊娠中はリステリア菌を含んでいる可能性のある食べ物は控えましょう。

トキソプラズマ(寄生虫)を含んでいる可能性のある食べ物

トキソプラズマは生の肉類などに見られる寄生虫です。ママがトキソプラズマに感染すると胎盤を経由して赤ちゃんにも感染し、先天性トキソプラズマ症になってしまう可能性があります。

先天性トキソプラズマ症は、未熟児、子宮内胎児発育不全、黄疸、肝脾腫、心筋炎、肺炎などを引き起こす怖い病気です。妊娠期間中は生の肉類を避け、しっかりと火を通して食べる用にしましょう。

食中毒を引き起こしやすい食べ物

健康な状態でも大変な食中毒。妊娠中は服用できる薬も限られている上、下痢や嘔吐で脱水症状になった場合に子宮収縮を起こす危険性もあります。

生魚から感染する腸炎ビブリオ菌や、牡蠣など生の二枚貝に多いノロウイルス、生の鶏肉や卵の殻などから感染するサルモネラ菌など、食中毒の危険性がある生の食べ物はなるべく避けましょう。

妊娠中は控えた方がいい食べ物リスト

妊娠中は控えた方がいい食べ物は以下の通りになります。

控えたほうがいい食べ物 理由 具体例
アルコール
赤ちゃんの発達遅延、中枢神経障害、流産を引き起こす場合がある
酒類
リステリア菌を持っている可能性のある食べ物
妊婦はリステリア症になるリスクが通常の20倍
非加熱のナチュラルチーズ、スモークサーモン、生ハムなど
トキソプラズマを含む可能性のある食べ物
赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症にかかるリスクがある
生ユッケ、レアステーキ、生ハム、サラミなど
食中毒を引き起こす可能性のある食べ物
妊娠中の食中毒は子宮収縮を引き起こす要因になる場合がある
生魚、生卵、生貝など

妊娠中は食べる量に気を付けたほうがいいもの

妊娠中は食べる量に気を付けたほうがいいもの
妊娠中は様々な栄養素が必要になりますが、中には多く摂取しないように気を付けなければいけない食べ物があります。過剰に制限が必要な訳ではないけれど、摂取量に気を付けたい食べ物を紹介します。

カフェイン

珈琲や紅茶などに含まれるカフェイン、多く摂り過ぎると自然流産のリスクが上がったり赤ちゃんの発育を妨げたりしてしまう可能性も。
世界保健機構(WHO)では、妊婦が1日に摂取するカフェインの量は2カップ程度に抑えるようガイドラインが定められています。

日常的にカフェインを含む飲み物を飲んでいる人は摂取量を減らし、ノンカフェインの飲み物で代用すると良いでしょう。

カフェインの摂取上限量/日 300mg/日

水銀を含む食べ物

海の中の微生物や魚に含まれる有害なメチル水銀。少量なら問題はありませんが、小さな小魚を捕食する大型の魚類の中にはお腹の赤ちゃんに影響を与える量のメチル水銀を含むものもいます。

ママがメチル水銀を多く含む魚をたくさん食べてしまうと、赤ちゃんの中枢神経の発達に影響を与える場合も。魚類は妊娠中に必要な栄養分も多く含みます。適切な量を摂りいれるように心がけましょう。

メチル水銀の摂取上限量/週 体重1kgあたり2.0㎍

ヨウ素を含む食べ物

甲状腺ホルモンの主原料となるヨウ素は必要不可欠な成分ですが、過剰に摂取すると赤ちゃんの甲状腺機能が低下してしまうと言われています。

昆布やわかめなどの海藻類に多く含まれているものの、直接食べるようなわかめや焼き海苔に含まれるヨウ素量は摂取推奨量を大幅に超えるようなものではありません。食べる目安をキチンと把握した上で毎日の食事に適量のヨウ素を摂り入れましょう。

ヨウ素の推奨量/日 240㎍/日
ヨウ素の摂取上限量/日 2,000㎍/日

ヒ素を含む食べ物

人体に有害な無機ヒ素。健康な大人でも過剰に摂取すると中毒症を起こしてしまう他、赤ちゃんには奇形や脳障害を起こす危険性もあります。

無機ヒ素が多く含まれる食べ物として注意したいのがひじきです。鉄分やミネラル、食物繊維などを豊富にふくむひじきは妊婦に必要な成分を多く持つ反面、過剰に摂取しすぎると無機ヒ素の悪影響を受けてしまうことも。

ひじきに含まれる無機ヒ素の量は確かに多いですが、乾燥ひじきをそのまま食べたりしない限り過剰に心配する必要はありません。水に戻したり、煮たりと調理の過程で多くの無機ヒ素が流出していきます。戻し汁や煮汁などは捨てるようにすれば問題ないでしょう。

無機ヒ素の摂取上限量/日 体重50kgの場合107㎍/日

ビタミンAを含む食べ物

体に必要なビタミンAも妊娠初期に過剰摂取すると、赤ちゃんの形態異常を引き起こすリスクが高まります。ビタミンAの中でも野菜などに含まれる植物性のビタミンA(βカロテン)は問題ないので、ビタミンAを制限し過ぎるのではなく植物性ビタミンAを積極的に摂り入れるようにしましょう。

ビタミンAの摂取推奨量/日 650~700㎍

妊娠中は食べる量に注意したほうがいい食べ物リスト

妊娠中は食べる料に注意した方がいい食べ物は以下の通りになります。

理由 摂取量の目安例 具体例
カフェインを含む食べ物
赤ちゃんの発育を妨げる場合がある
1日2~3杯まで
珈琲、紅茶、緑茶、栄養ドリンクなど
水銀を含む魚
赤ちゃんの中枢神経発達に影響する場合がある
1回80gを週2回まで
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ(インドマグロ)、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ
水銀を含む魚
赤ちゃんの中枢神経発達に影響する場合がある
1回80gを週1回まで
キンメダイ、ツチクジラ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチ(メバチマグロ)、エッチュウバイガイ、マッコウクジラ
ヨウ素を含む食べ物
赤ちゃんの甲状腺機能が低下する場合がある
昆布…出汁汁150ml程、水戻しわかめ…12g程
昆布、わかめ、めかぶ、タラ、シシャモ、ずわいがに、あわび、サザエなど
無機ヒ素を含む食べ物
赤ちゃんの脳の発達への影響、脳障害、催奇形性などを引き起こす場合がある
乾燥ひじき5g(煮物で小鉢1杯程度)…週2回まで
ひじき、玄米、こんぶ、海苔、わかめなど
ビタミンAを含む食べ物
赤ちゃんの形態異常を引き起こす場合がある
レバー…串焼きを週1本まで、うなぎ…かば焼きを週1回まで
レバー、うなぎ、あんこう、フォアグラ、ほたるいかなど

妊娠中は食生活の見直しをしよう

妊娠中食べたほうがいいものや、控えたほうがいいもの、食べる量に気を付けたいものを紹介してきました。妊娠前は気にしなかった食生活も、赤ちゃんを育むことになると気になるもの。これからママとして過ごしていく中で、自分と子どもの健康を守るためにバランスの良い食事は欠かせません。

食生活を見直すきっかけとして最適な妊娠期間中こそ、これまでの食事を一新してバランスが良く体に良い食事について考えてみて下さいね。

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この記事の監修
エナみらいグループ総院長 宿田 孝弘
宿田 孝弘
エナみらいグループ総院長
札幌・石狩の産婦人科「エナレディースクリニック」の宿田です。母と子に優しいお産、女性が求める医療がエナにはあります。札幌・石狩市での出産や婦人科疾患のお悩みなど、お気軽にご相談ください。