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着床出血のタイミングは?量や色など、生理との違いはある?特徴を解説

医療法人みらいグループ
着床出血

妊娠している人に見られる症状のひとつである着床出血。妊娠していることが早期に分かる症状としても知られていますが、実際は大半の人が体験していません。また、体験した人のなかには「着床出血なのか生理なのか分からなかった」「妊娠してから、あの時の出血が着床出血だったのだと気付いた」という人も多くいます。
今回は、着床出血について詳しく紹介します。着床出血が起こる仕組みやタイミング、生理との見分け方なども解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

着床出血とは

着床出血(ちゃくしょうしゅっけつ)とは、受精卵が子宮に着床する際に起こる少量の出血を指します。医学的に、妊娠は受精卵が着床することで成立すると定義されているため、着床出血は妊娠しているサインと捉えることができるでしょう。

着床出血が起こるメカニズム

排卵から着床までの一連の流れ
女性の体内では、毎月定期的に排卵が行われています。排卵された卵子と精子が出会うと受精卵になり、受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管を通って子宮へと移動します。子宮に移動した受精卵は血液で作られた子宮内膜に絨毛と呼ばれる組織を伸ばして接着し、子宮内膜のなかへと潜り込んでいきます。これが着床です。
着床出血は、着床の際に子宮内膜が少量剥がれ落ちてしまうことで起こります。この時期の女性の体内では、プロゲステロン(黄体ホルモン)の働きによって子宮内膜が厚く維持されています。プロゲステロンが十分に働いている状態であれば、着床しても多くの子宮内膜が剥がれ落ちることはありません。

着床出血が起こる割合

着床出血が起こるメカニズムから見ても分かるように、基本的にプロゲステロンの働きによって子宮内膜は厚く保たれている状態です。着床した際の刺激にも耐えられるよう厚い子宮内膜が保たれているため、出血は起こりにくくなっています。
つまり、着床したからといって必ずしも出血が起こるという訳ではないのです。着床出血は、全ての女性が妊娠した際に起こる現象ではありません。実際に、着床出血を経験した産婦は、全体の約20~25%程度だと考えられています。

着床出血が起こる時期

排卵から着床までの卵子・受精卵の変化
着床出血は、着床の際に起こるためある程度起こる時期が予想できます。
妊娠前の最後の生理が始まった日を「妊娠0週0日」とし、一般的に排卵は妊娠2週目(前回の生理が始まった日から2週間)前後で起こります。その際、性交した卵子が受精卵になると、3~4日かけて卵管から子宮へと移動します。子宮に到達した受精卵は、1~2日間かけて子宮内で子宮内膜が十分に育つまで待ってから着床するのが特徴です。つまり、着床および着床出血が起こるのは妊娠3週頃ということがわかります。

着床出血と生理を見分けるポイント

着床出血と生理はよく間違われがちですが、実はいくつかの見分けるポイントがあります。続いては、着床出血と生理を見分けるポイントについて分かりやすく紹介していきます。

【ポイント1】血の色や質が違う

着床出血と生理の違い
着床出血の場合、血の色や質に以下の特徴が見られます。

  • 血の色が薄い
  • 極少量で点状に出血することが多い
  • サラサラしている
  • 血の塊が出ることはない

血の色に関しては、赤色から茶色までさまざまです。これは、着床の際に剥がれ落ちた子宮内膜がすぐに排出されれば鮮やかな赤や薄くなったピンクの色をしていますが、排出までに時間がかかった場合、血液中の鉄分が酸化して茶色に変色するからです。

一方、生理の場合は以下の特徴が見られます。

  • 鮮血や赤褐色の経血
  • 粘性がある
  • 血の塊が出ることがある

着床出血の場合、極少量の経血がおりものなどの分泌液と混ざって薄い色をしていることが多いです。着床出血を経験した人の話を聞くと、排泄の際にトイレットペーパーにうっすら血がついていたり、気付かないうちに下着に少量ついていた血液を見て「着床出血かも?」と考えた人が多いそうです。

【ポイント2】血の量が違う

着床出血と生理の出血量の違い
着床出血と生理の大きな違いとして、血の量が挙げられます。着床出血は、徐々に出血量が減少するのに対して、生理は徐々に出血量が増加していくのが特徴です。
着床出血は、本来剥がれるはずのない子宮内膜が偶然極少量剥がれてしまったことで起きます。他の子宮内膜はホルモンの働きによって厚く保たれているため、着床時に剥がれた子宮内膜以外は排出されることがありません。
一方、生理では黄体期に厚く育った子宮内膜を一度すべて排出してリセットするため、一度排出が始まると次々に子宮内膜が剥がれ落ちて排出されていきます。

【ポイント3】出血する期間が違う

着床出血によって排出されるのは、着床時に剥がれ落ちたごく僅かな子宮内膜です。そのため、出血が数時間で治まるケースも珍しくありません。排泄の際にトイレットペーパーについた出血を認めナプキンをあてたものの、次の排泄の際にはほとんどナプキンが汚れていなかったというケースも多く聞かれます。長く続いても2、3日のうちに出血が止まることが多いでしょう。
ただし、なかには1週間ほど少量の出血が続いたというケースもあるため、期間については個人差も大きいことを理解しておいてください。
一方で、生理は20~40代の健康な女性の場合、3~7日間続きます。8日以上生理が続く場合は過長月経、2日以内で生理が終わる場合は過短月経と呼ばれ、それぞれホルモンや子宮の働きに異変が起きている可能性があります。

【ポイント4】痛みの感じ方が違う

生理中は子宮の周辺に痛みを訴える人が少なくありません。子宮の収縮する痛みや腰骨・恥骨などに響くような痛みを感じる方が多いでしょう。
一方で、着床出血の際には痛みを伴わない人が少なくありません。生理のように子宮が収縮しないことや、生理時のようにホルモン分泌量の急激な変化が起こっていないことが理由と考えられます。しかし、高温期が続くことで体のだるさや熱っぽさを感じたり、妊娠超初期症状として吐き気や頭痛などを感じる人もいます。
着床出血の際は、生理の時のような直接的な痛みは感じないものの、気持ちの不安定さや不快感を訴える人の方が多いようです。

着床出血かも?と思った時の対処法

生理予定日よりも早く始まった出血に対して「着床出血かもしれない」と思った時には、以下のように対処しましょう。

1.出血が止まるまで様子を見る

まずは、落ち着いて出血が止まるまで様子を見ましょう。いつ、どの程度の量の出血があったのかを記録しておくと良いでしょう。妊娠の可能性がある場合は薬の服用、飲酒、喫煙を控えて過ごしてください。
徐々に出血量が増えるのか、もしくは徐々に出血量が減るのかをよく観察しておくことが大切です。

2.妊娠検査薬で検査する

妊娠検査薬の結果を見る女性
出血量が徐々に減って出血が完全に止まり、生理予定日を1週間過ぎても月経が起こらなかった場合は、市販の妊娠検査薬などを使用して妊娠検査を行うのがおすすめです。
もちろん、産婦人科医院などで妊娠検査を受けても良いですが、国内製造されている妊娠検査薬は医療機関で使用されているものとほぼ同等の精度があります。取り扱い説明書をよく読み、正しく検査すれば高い精度で妊娠の有無を判定することができるでしょう。
ただし、妊娠検査薬で陰性が出ても月経が起きない場合は、医療機関を受診しましょう。何らかのトラブルによって妊娠検査薬の誤判定が出ていたり、子宮やホルモン分泌に異常が起きていたりする可能性があります。

3.産婦人科医院を受診する

妊娠検査薬で陽性反応が出た場合、産婦人科医院を受診しましょう。産婦人科医院では、妊娠の有無はもちろんのこと、正常に妊娠しているかどうかを調べてくれます。
異所性妊娠(子宮外妊娠)や胞状奇胎など、妊娠の継続が不可能な状態で受精卵が着床した場合も、妊娠検査薬で陽性と判定されます。これらの異常妊娠は早期に対処しなければ、母体の生命を脅かすリスクが大きいため、妊娠検査薬で陽性が確認できた際には速やかに産婦人科を受診し、正常妊娠しているかどうかを調べて貰いましょう。

不正出血の可能性も

女性器からの出血は着床出血や生理によるものだけではありません。なかには、病気や体調不良などのサインとして起こる不正出血の場合もあります。

不正出血とは

不正出血とは、生理以外で起こる女性器からの出血全般を指します。つまり、着床出血も厳密に言えば不正出血の一種と言えます。
着床出血の場合は原因が判明していることや、不調を示すものではないことが分かっているため危険視する必要はないでしょう。今回紹介した対処法で、正しく対処をすれば問題ありません。
一方、着床出血を除き、不正出血の多くは病気や不調のサインと考えられます。大きな病気が隠れている可能性もあるため、不正出血を疑う際には速やかに医療機関を受診してください。

不正出血の症状が出やすい病気

不正出血の症状が出やすい病気には以下のものがあります。

<妊娠に関連するもの>

  • 異所性妊娠
  • 胞状奇胎
  • 絨毛膜下血腫
  • 早期流産
  • 切迫流産など

<婦人科系疾患>

  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮腺筋症
  • 子宮内膜増殖症
  • 子宮体がん
  • 子宮頸管ポリープ
  • 子宮頸がん
  • 子宮膣部びらん
  • 卵巣腫瘍
  • 卵巣機能不全
  • 性感染症

上記の病気以外にもホルモンバランスの乱れやストレスによって不正出血が起こるケースもみられます。まずは、大きな病気が隠れていないかを確認するためにも、医療機関を受診して不正出血についての診療を受けるようにしてください。

まとめ

今回は着床出血について紹介しました。着床出血は、着床時に起こる極少量の出血であり、全ての妊婦に起こる症状ではありません。妊娠を望んでいて、着床出血を心待ちにしている人もいるかもしれませんが、「着床出血が起こらない=妊娠していない」という訳ではないことを理解しておきましょう。
また、着床出血は生理予定日に近い時期に起こるため、生理と見分けがつかないというケースもあります。しかし、よく観察すれば違いは一目瞭然なので、今回紹介した見分けるポイントを押さえて、着床出血なのか、生理なのかを判断し、その後の対処をしてくださいね。

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この記事の監修
エナみらいグループ総院長 宿田 孝弘
宿田 孝弘
エナみらいグループ総院長
札幌・石狩の産婦人科「エナレディースクリニック」の宿田です。母と子に優しいお産、女性が求める医療がエナにはあります。札幌・石狩市での出産や婦人科疾患のお悩みなど、お気軽にご相談ください。